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ワケあって、異世界審査通っちゃいました  作者: 蜂月 皐
第2章「リザードマン編」
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第19話 「紗月と龍じい」

引き続きご愛読いただき、ありがとうございます!

古い仲間である、紗月と龍じいの関係とは?そして紗月の正体が明らかになる………

黄昏に姿が紛れ始める頃、僕らは、龍じいの家に集まっていた。


「ルリアは、相当疲れたのでおじゃろう。奥の部屋で眠ってしまった。半日にして家族を失い、友人を失い、村を蹂躙された彼女の心の傷は、深かろうて」


ルリアは、しっかりしているようでまだ12歳。リアルでは小学生だもんな。精神が壊れないだけ大したもんだ。さて、僕らは僕らで、情報共有でもするか。


「なぁ、龍じい。あんたのその年相応とは思えない、凄まじい剣技、あれはスキルかなんかか?」


龍じいの剣技を体感し、始めは恐怖心を抱いていた僕だが、今は逆に、憧れのような気持ちを抱いていた。


「あれは、純粋な剣術とわしのオリジナルスキルの複合技でおじゃる。鈴空よ。主は、武術に暗いのぉ。構えすらなっとらんでおじゃる」


剣術か。確かに僕には、そういった経験はない。ド素人同然。今は、紗月がサポートしてくれているから何とか戦えている状態だ。


「まぁ、そう言ってやるな龍じい。主様とて、しっかりと修練なされれば、アレくらいの技すぐに使えるようになる。主様よ。龍じいは、元々、剣の達人。『花龍(かりゅう)』の称号を持つ、この世界でも有名なリザードマンじゃ」


花龍か。なんだか、よくわからんが、剣の世界じゃ凄い人なんだな。僕は、さっきまでそんな人物と殺し合いを余儀なくされていたのか………。首が繋がっている奇跡に感謝しよう。


「紗月。先程も尋ねたが、主のその姿は、一体なにがあったのでおじゃる?主は、まぎれもなくヒューマンじゃったはずじゃ。そしてその刀、忘れもしない。主の生前の愛刀、『縁』。繋刀の一振りが、今や、口を利く刀でおじゃるか?摩訶不思議なこともあるものよ」


そうそう。それ!昼間、紗月も言いかけていたけど、元々は人間だったってどうゆうことなんだ?


「ふむ。そうゆう、主の愛刀『仁』の切れ味も朽ちることはないの。さすが、縫刀(ほうとう)の一振りじゃ」

「剣の世辞は良いでおじゃる。先程のわしの質問に答えてもらうぞ」


龍じいは、少し照れ臭そうに、話を元の方向へ戻した。


「では、主様にもわかるように10年前の話から始めようかの。当時わしは、6()()の仲間と共に、とある戦に参戦していた。その戦こそ、『ナインレース・ヘゲモニー』。戦いは、熾烈を極めた。9つの種族は、互いに世界の主権を巡って争ったが、力は均衡しており、最終的に決着は付かなかったのじゃ。しかし、その後、9種族のうち、6種族が謎の失踪。残されたのは、現存する3種族となったわけじゃ。わしは、このナインレース・ヘゲモニーでパーティーのリーダーでもあった、ナヨミととも戦死した………。はずじゃったのだが、ナヨミは、わしが力尽きるその刹那に、滅びゆくわしの肉体から、精神だけを分離させ、刀に移したのじゃ。以上が今のわしをわし至らしめている理由じゃの」


なんか急に重い話きたな。9種族?戦争?刀に精神を移す?色々、ツッコミたいところがありすぎる。


「ほほう。そうゆうことでおじゃったか。ナヨミも粋なことをしよったものでおじゃる」


え?納得したの?今の説明で?ま、まぁ龍じいは、紗月と古い仲だから理解も容易いんだろ。


「リア、今の説明わかったか?色々と疑問点多いよな?」

「いえ。理解できました。紗月さんは、説明が上手ですね」


リア―!僕を置いてかないでくれー!僕も仲間に入れてくれー!教室で一人授業に付いていけないようなキャラにはしないでー!僕ってこうゆう時、素直にわかりません!とか質問をしたりとかできないコだったからなぁ。基本陰キャだし………。だ、だれか助け舟を出してくれー!


「龍じい………。ヒューマンって刀の中に入れるの?9種族ってなに?」

奥の部屋から、眠たそうに目を擦りながら、ルリアが出てきて、子供らしい質問をしてくれた。僕は、小学生に救われるのか………。ルリアでも素直にわからないことは聞けるのに、僕ってやつはなんて、なんて、なんて………、ラッキーなんだ!さぁ、質問に答えてもらおうか!龍じいよ!


「なんじゃ、もう起きてきたのかルリア。ルリアは、まだ小さいからわからないこともたくさんあるでおじゃるな。では、この老躯が一つご教授してやるでおじゃる」


前置きは良いから早く教えてくれ。自分だけ取り残される時間は、できるだけ短い方が良い。


「まずは、ルリアの勘違いを正すでおじゃる。ヒューマンじゃなくとも、どの種族も刀の中になど入れはせんでおじゃる。では、何故、紗月が刀に入れているのかというと、繋刀『縁』は、特別性での、元々スキルや魔法をその刀身に宿し、攻撃を繰り出す刀。つまり、ナヨミが何かしらのスキルを使い、紗月の精神をスキルごと刀に付与したと考えれば、示しが付く。そして、9種族とは、ヒューマン、デミヒューマン、マシーネ、異世界人のことじゃ。異世界人は、6つの種族に分類される。つまり、9種族となるわけでおじゃる」


ほぉぉぉ。成る程。そうゆうことだったのか!


「んー。そっか。わかった。刀の中なら安全かなって思ったけど、ルリアは刀には入れないんだね」

ルリアの言葉に、一同沈黙する。今回の惨劇が、まだ幼いルリアのトラウマにならないといいけど。きっと皆、心の中で思っていることは同じだろう。


「ルリア。向こうで私と一緒に休もうか」


リアが機転を利かしてくれる。ルリアは、安心したのかリアと一緒に奥の寝室へと姿を消した。


「ところで、主様。これからわしらは、どうするのじゃ?」


確かに。今日のところは、ここに泊まるとして、こんな恐ろしいことがまたいつ起こるとも限らないからな。龍じいは強いから良いとしても、ルリアは………。


「まだ、決まっていないのであれば、少しこの村に留まってくれんかの?村の復興もしたいし、ルリアは、どうやら主らに懐いておるようじゃしな」


龍じいからの提案に即答しかねる僕は、薄情者だな。


「もし、主らが留まってくれるのであれば、鈴空、お主に剣の稽古をつけてやるでおじゃる」


マジかー!あのかっこいい剣術の指南をしてくれるってのか!でもアレをマスターするのに何年かかるんだろう………。


「それは、ありがたい申し出だが、あんなに凄い剣術すぐにはマスターできないだろう?」

「心配するな。鈴空には紗月が居るではないか。紗月のサポートがあれば、すぐに覚えられるでおじゃる。ただ、技を自分のものとして昇華できるかは、鈴空次第でおじゃるが………」


僕は、こうして、この竜の村にしばらく滞在することとなった。

読んでいただきありがとうございました。

これからも連載を続けていこうと思っておりますので、ご意見、ご感想等、寄せていただけると勉強にもなりますし、執筆意欲も出ますので、ぜひよろしくお願いします。


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