第13話 「ワケあり装備 2」
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スーツってレア装備???
「あのー、ここに入ってもらえる?」
僕らは、小柄なヒューマンに連れられ、路地裏にある小さな店に足を踏み入れた。店内は、武器や防具が所せましと並べられており、乱雑としていた。
「あのー、ちょっと待っていてもらえる?その辺に適当に座ってていいから」
座れったって、ここは、足の踏み場もないぞ。少しは片付けろよな。仮にも店なんだろぉ………。僕が、ぶつくさ言ってる横で、リアは腰を下ろせるスペースをすでに確保していた。僕は、リアが切り開いてくれた、床に腰を下ろした。5分程すると、小柄な体いっぱいに何やら荷物を抱えて、さっきのヒューマンが現れた。
「あのー、お待たせしました」
そうゆうと、彼は、大量の荷物をまたしても乱雑に床に置いた。
「あのー、まだ自己紹介がまだだったね。僕の名は、シューレ。ここで、武器と防具の店をしてます。店の名前は、グラム」
「俺は、鈴空、こっちはリアだ」
「よろしくお願いします。シューレさん」
一通りの自己紹介が終わったところで、僕は、間髪入れずに本題に入る。この武器や防具の数々を目の前にして、この中の一つくらいは、ワケあり装備があるんじゃないかと期待が膨らんだからだ。
「もしかして、この中にワケあり装備ってある?」
「一応ありますけど、あのー、まずは、僕のお願いを聞いてほしい………」
シューレがわざわざ僕達をここに連れてきた理由がそのお願いってやつなんだろう。ワケあり装備もあるっていうし、ここは彼のお願いとやらを先に聞いてやることにするか。僕は、少し思考を巡らし、じらし気味に頷いて見せた。
「鈴空。君の着ているそれ。そのスーツ。僕に譲ってくれない?もちろん言い値で買うよ」
お願いって、このスーツが欲しいってことなのか。でも、現状、着替えとかないし、これ一張羅なんだよな。これを売ったら、パンツ一丁になっちまう。まぁでも、言い値って良い響きだよな。これから旅立ちだし、先立つものは必要だな。僕今、絶賛一文無しだし。
「んー。そうだなぁ。このスーツ結構高かったんだよなぁ。売るって言ってもそれ相応の値段じゃないと売れないよー」
釣り上げられるところまで値段を釣り上げよう。相手は、子供だけど、大人げないかもしれないけど、背に腹はかえられないし。
「そうだよね。んー、そうだなぁ。コレくらいの値段でどう?」
シューレは、電卓に値段を打ち込み僕に見せた。
『100000000G』
いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、じゅうまん、ひゃくまん、せんまん、いち………お………く???
は?いやいやいやいやいや。ちょ、待てよ。
ん---------。
一億!!!マジかー!たかがスーツに一億?コレただのリクルートスーツだぞ。2着で5万円程度の安物スーツだぞ。あまりの額に僕の脳は思考を停止した。すると、無言の僕を見た、シューレは、
「あのー、やっぱりこれじゃ安すぎるよね?僕の店は、この通り小さい店だから、このくらいが限界で………。でもでも、その代わりって言ってはなんだけど、ワケあり装備を付けるよ。なんとかこれで譲ってもらえないかな?」
さらに上乗せしてきた。おいおい、マジで良いのか?こんな子供から詐欺みたいなことして良いのか俺!
「リ、リア………」
「はい。なんでしょう?」
リアは、僕と違って平然としている。
「う、売りだよな?」
「んー。そうですね。相場ですけど、付属していただける、ワケあり装備の内容によると思います」
相場?は?スーツ一着1億が相場?は?スーツってこの世界じゃ、レア装備なわけ?
「と、とりあえず、付属してもらえるワケあり装備を見せてもらいたいのだが、構わないかな?」
「あ、はい。こちらになります」
先程、小柄な体いっぱいに抱えてきた荷物がどうやらそのワケあり装備ということらしい。
「まず、防具です。こちらは、『ジャージ』という名前の防具になります。防御力に関しては、マシーネの光速で発射されるレーザー兵器を受けても無傷でいられます。次に武器です。こちらは、『刀』という種類の武器になります。攻撃力に関しては、さほど高くはありませんが、魔法やスキルと組み合わせることで、その切れ味は、デミヒューマン族最強の防御力を誇る『鬼』すら両断できると聞きます」
ジャージに刀………。刀はまだ良いよな。カッコいいし、強そうだし、武器であることは間違えない。でもなぁ。ジャージて。ジャージで防御力とか言われてもなぁ。しかも、アズジャじゃん………。
「リ、リア。これは、無いよな?」
「ジャージと刀!凄い装備じゃないですか!これがあれば、南の地に行くのも問題ないですね!」
ほ?
「ちょ、ちょ、リアさん。マジで言ってますぅ?気は確かですかぁ?これジャージだよぉ?」
「アリです。これなら、商談成立で問題ないと思います。売りましょう」
正気か?こいつら、マジでジャージ舐めてね?ジャージなんてすぐ穴開いちまうぞ。穴開いたらアップリケだぞ。恥ずかしいぞ。いい年して、アップリケはないだろ。お母さんが、縫ってくれるアップリケ。柄にもよるけどさ。アップリケしてる大人見たら、いよいよ引くわぁ。
「では、鈴空さん。商談成立ということで、こちらが100000000Gとジャージと刀になります。そこに試着室があるので、そちらで着替えをしてきてください」
お---い!なんか勝手に話が進んでるぞー!とはいえ、目の前に積まれた、100000000Gは、僕の不安全てを拭い去ってくれた。
読んでいただきありがとうございました。
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