第10話 「落ちのある話」
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どうやら、鈴空の精神状態は不安定のようです………。
「『人間道』がどうゆうルートかという説明からしようかの。『人間道』は、人以外は仲間にできない道。これくらいの説明はあったはずじゃ。さて、この世界において人を差す種族はなんだと思う?」
「人は人。人間だろ?ヒューマン」
「うむ。まずは、その勘違いから正そうかの。むしろ、人ではないのは、『ヒューマン』じゃ」
婆さん………。こんな短時間でボケてしまったのか………。それとも老眼か………。
「はぁ………。もう気にせず話しを続けるぞい。3種族をお主にわかりやすいように言い換えるとこうなる。『ヒューマン=人間』、『デミヒューマン=亜人』、『マシーネ=機械人』。これで分かったかの?」
「いや、ドヤ顔でそんなこと言われてもわかんないからー!亜人と機械人は人じゃないじゃん。亜人は、動物と人間の混合、機械人は見たことないけど、ようはロボットみたいなもんだろ?」
ったく早いとこ話しを終えたいのに、なんでこんな老人介護みたいなことしなきゃならんのだー?
「鈴空。人間がどの種族か?ではないのだ。人以外は、仲間にできない。ということなのだ。つまり、〇〇人しか仲間にできない。『人間道』というのは、鈴空、お主自身が人間として歩むということ。周囲の人間に向けられた言葉でもなければ、道でもない」
「………。そ、そんな、そんなことって。最高じゃねーか!!!」
「どうゆうことじゃ?」
「モフモフちゃん達とは、仲間になれないと思って心底落胆してたんだ!いぃやったー!」
「はぁ………。まったくお主は、どうゆう思考回路をしておるのだ………」
「僕は元々、人間が嫌いだ。そしてなにより、2次元派だ!これが喜ばずにいられるだろうか?いや、いられまい。たくさん、仲間をつくるぞー!」
僕の一番の懸念が払拭され、今まさに絶好調になった。
「鈴空さんは、やっぱり面白い人ですね。自分の欲望に正直です」
誉め言葉かな?今は何を言われても、ポジティブに変換して捉えることができそうだ。
「鈴空さん。絶好調のところ申し訳けありませんが、実は、もう一つ大事なお話しが………。常婆」
急に、2人の顔が険しくなる。まだ僕の知らないことがあるのか?設定の多い世界だなぁ。面倒臭い。さっさとモフモフ帝国を造らないといけないというのに。
「鈴空よ。異世界人には、この世界はある意味で酷な構造となっておる。その一つに、スキルや魔法の習得がある。鈴空、お主がこの世界に招かれた理由は覚えておるかの?」
「え?適性があるからだろ?」
あれ?違ったっけ?
「違う。そもそも、適性があると判断されたのは何故かということじゃ」
判断された理由?なんだろう?あれ?適性ってこの異世界に対する適性ってことだよな?
「もう忘れたのか………。そもそも、お主がここに来ることになった原点じゃ。お主の世界で、スカウトされたんじゃろう?それは、お主が、『ワケあり』の人物だったからじゃ」
「あッ!」
思い出した。そうだ。あの審査。そもそもは、ワケありの僕を、ケモ耳さんがスカウトしたところから始まったんだ。
「異世界人は、元の世界で何かしらの『ワケあり』が選ばれる。これは、こっちの世界でも例外ではない。例えば、スキルや魔法じゃ。元来、スキルや魔法は、それを習得している者が、あらゆる物に力を封じ込め、定められた法の下に、販売されるもの。ここでいう法とは、3種族が協定を結んだ際に、定めた法律のことを言う。つまり、公的に正規のものしか、習得はできないのじゃ」
なんか急に難しい話しになったな。法律とか面倒だな。つーか、そんなもん、僕が変えてやる!
「法律とか面倒だが、習得の方法については理解したよ」
「鈴空さん。今、常婆が言ったことは、この世界の住人に対してだけ適応されるのです。つまり、鈴空さんは、適応外ということになります」
はい?
「えっ、えっとつまり、僕はスキルや魔法は習得できないってこと?」
そりゃぁ、ないよー!ここまで上げといて、最後で落とすー?確かに落ちは大事だよ。大事だけどもだ。今は、そうゆうのいらんわぁ。
「あっ、と、でも大丈夫です。常婆がいるので」
常婆がいると大丈夫?このなんの変哲もない、デミヒューマンの婆さんがいると僕がスキルや魔法を習得できるようになるの?どうゆう理屈だ?
読んでいただきありがとうございました。
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