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絶望の次

 私の好きな人が、私の横で、空気を切り裂き落ちて来た植木鉢に当たり絶命した。

 何度彼が死ぬ光景を目にしただろう。苦しそうな目から光が消える瞬間、いつも息が出来なくなる。

 時間を繰り返し、助ける為に何千回と試行錯誤した。それでも助けられない。


 死の瞬間はいつも新鮮だ、慣れは一生来ないのだろう、涙で顔がぐちゃぐちゃ、鼻水も出て、地面を強く踏みしめる。歯を食いしばって、自分がおかしくならないように、腕をつねる。

 すごく痛い、これは夢じゃないらしい。夢ならばどれほどありがたかったことか。


 ああ、苦しい、やめたい、もう失いたくない。繰り返したくない。死を見つめたくない。

 心の空洞が広がって心臓が何かに握りしめられ、虚無感に襲われる。


 なんでだよ、ああ、理不尽だ。この世に対する怒りが収まらない。爪が前腕に食い込み血が流れる。


 現実逃避、無気力、絶望、怒り、この過程を踏まなければ私の心は正常に戻らないらしい。

 何千回しても慣れない。


 結果的に私も彼も苦しい思いをしている。私だけならまだしも、彼が苦しい思いをするのは私のエゴではないだろうか?

 もう苦しませるのは、やめよう。

 あーあ。結婚して、彼の子供を産むことが私の夢だったのに………

 悔しいな……苦しいな……

 ちょっと待て……私は女だ、彼の遺伝子を貰えば、子供を産むことは出来る。

 

 九千八百二十四回目の繰り返しの末、私は高校在学中に彼の子供を授かることを決意した。

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