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勇者による召喚勇者救出大作戦  作者: ちかえ
第4章 変化の兆し
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交流

 麗佳は部屋に戻ると、安堵の息を吐いた。


 別に護身術の稽古をしたりしたわけではない。ただ、貴族の夫人や令嬢たちと小さなお茶会をしただけだ。

 でも疲れた。今回は気を使う女性達が多かったから余計に緊張したのだ。


 もう一度ため息を吐いていると、ヨヴァンカが最近よく飲んでいるハーブティーを淹れてくれた。みんなでお茶を飲んだ後なのに、それはとっても喉と心にしみた。


「そんなに無理なさらなくても……」


 ヨヴァンカが苦笑いしながらそんな事を言ってくる。


「でも必要な事なのでしょう?」

「妃殿下の心身の健康が一番大切ですよ」

「そうなのだけど……」


 つい子供みたいに唇を尖らせてしまう。慣れたヨヴァンカの前だとリラックスするからだろうか。


 貴族の状況や思いを知るには社交がとても大事だ。それはスオメラ家やラヒカイネン家の女性たちから何度も聞かされている事だ。


 パレードで王妃の妊娠が正式発表されたので、全国の貴族からお祝いとともに、是非王妃に直接お祝いが言いたいと言われるようになった。


 なので、これはいい機会だと、お茶会を開いて順番に彼女達を招くことにしたのだ。公式のお茶会だと、かなり大規模なものになってしまうので、小さい非公式のものにしている。


 ちなみにこれをやっていた王妃は麗佳だけではない。昔の王妃の日記を読んでみても、安定期である妊娠中期にそういう茶会を催した記録が残っている。

 ならば麗佳も同じようにすると期待されているだろう。なのできちんとそれに習ったのだ。


 もちろん、親しい者、そして王家に友好な貴族ばかりを招くと、そうでない貴族達から反発も出るので、バランスも考えて招いている。


 そうなると、今回のようにものすごく緊張して接する茶会というのも出てくるのだ。もちろん表面的には優雅だが、揉め事が起こらないように会話に気を配らなければいけなかったし、麗佳に対して嫌がらせの類が起きないか気をつけなければならなかった。


 もちろんどの貴族からも反発がないのが一番だ。だが、それは難しいので、こうして社交を通して緊張感を和らげる必要がある。これも王妃の大事な仕事だ。


 ただ、それは主催者の腕次第なので、実際に和らいでいるのかどうかはわからないが。少しでも味方が増えてくれればそれでいい。

 プロテルス公爵の捕縛で敵対する貴族が減ってきたとはいえ、まだいないわけではないのだ。


「そういえば本日もお祝いが届いておりますよ。今、安全確認をしていますので妃殿下の元に届くのはもう少し後になりますけれど」


 控えていた女官がそう報告してくれる。まだ贈り物ラッシュは続いているようだ。と、いうことは茶会もまだまだ開く必要があるだろう。


「休憩が終わったら目を通しておかなくてはね。後でリストを見せていただける?」

「もちろんご用意しております」


 即答される。ありがたい。


 ただ、それは仕事モードになった時に考えるので、休憩時間である今は思い切り休んだ方がいい。もっと楽しい事を考えるべきかもしれない。


 麗佳はゆっくりとカップを口に運んだ。

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