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勇者による召喚勇者救出大作戦  作者: ちかえ
第4章 変化の兆し
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安全対策2

 妊娠中の大きなイベントも終わった。あの二日間が賑やかだったために少しだけ寂しく感じる。

 これが『日常に戻る』というものだ。


 ただ、この祭りとパレードで、リスティア大陸のほとんどの国には、魔王妃の妊娠の情報が知られている事だろう。

 そうなると、いくらエルシー王妃が黙ってくれているとしても、アーッレ王に隠しておくのは限界になる。ヴィシュとの間に結界は張ってあるが、他国から情報がもたらせる可能性は高い。

 まあ、でも、それは想定内なのであまり気にしていない。いずれは知られる事だ。


 ただ、勇者の動向は、というより、あちらが勇者をどう利用するつもりなのかは注意しておかなければならない。そこは気を抜かないようにしている。


 体調も一番落ち着いている時期だ。麗佳もいつも、よりは少し少ないが、大体同じくらいの仕事量をこなしている。ただ、周りは心配なようで疲れたら休めと言われているが。

 まじない師の診察も定期的に受けて問題ないと言われているので安心している。この定期健診はまじない師見習いであるハンニのよい修行の場にもなるので、そういう意味でもいい。


 残る問題は国内だ。まだ麗佳の事を警戒している、または、良く思っていない魔族は減ってきたとはいえ、少なくはない。

 なので、きちんと護身の訓練はしている。とは言っても、妊娠中にそこまで激しい動きは出来ないので少ない動きで身を守る術を学んでいる。


「ではもう一度やりましょう」


 ウィリアムが厳しい声で言ってくる。麗佳は『はい、お師匠様』と答えてから、しっかりと鞘付きの魔剣を懐に戻した。そしてきちんと座り直す。


 麗佳は護身用に自分専用も魔剣を持っている。勇者時代に持たされたような、変な術が練りこまれた問題のありすぎる魔剣ではない。きちんと自分の魔力を登録して、自分以外には使えないようになっている短剣だ。


 側にはオイヴァが心配して付いていてくれているが、ウィリアムがきちんと見てくれているので問題はないと思う。


 今やっているのは、遠くから飛んできた攻撃を魔剣で防ぐ訓練だ。武器を使って攻撃を防ぐのは普通に術で防ぐのとはまた違うコツがいる。


 攻撃の気配がした。麗佳はなんでもないように装いながらも、素早い動きで魔剣を鞘から抜きつつ軽く振るう。それで攻撃が切れ、かき消える。


 ウィリアムから『はい。いいですね』という言葉が出た。麗佳の師匠は厳しいので、こういう言葉が出てきたという事は大成功だということだろう。

 うまくいったとホッと息を吐く。


 とはいえ、これをこれからも何度も何度もやらされるのだろう、体に慣らさなければ非常事態の時に動けないのだから。


「次は、魔剣を呼び戻す訓練をしましょう」

「はい」


 これも何度もやっている。自分の武器が敵の手に渡ってしまった場合の対処法だ。魔剣には自分の魔力が登録してあるので、術で自分の手に呼び戻す事も出来るのだ。その過程で、剣に術をまとわせ、相手にダメージを負わせる事も出来る。


 麗佳はもう一度しっかりと気を引き締めたのだった。

これから(出来る限りですが)週一更新でいきます。

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