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勇者による召喚勇者救出大作戦  作者: ちかえ
第4章 変化の兆し
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パレード

 馬車の中からみんなに手を振る。とは言っても大きくではない。王族なので、いわゆるお上品な『お手ふり』である。

 王妃たるもの、こんな大勢の国民の前で素を出すわけにはいかないのだ。


 国民の持つ『穏やかでどこか幼く可愛らしい王妃』のイメージは崩さない。


 外からは『おめでとうございます』の他にも『王妃万歳』の声が響く。


 この世界に来るまでは本でしか読んだ事のない言葉だ。まさか自分がその言葉を受けるなんて思ってもいなかった。

 何度か受けたが、まだ慣れない。照れてしまう。

 でもそんな姿を見せるわけにはいかないので、にこやかに手を振って返事をする。


「体調は大丈夫か?」

「ええ」


 オイヴァが体を支えて小声で気遣ってくれる。でも言葉にした通り大丈夫だ。


 安定期に入ってきたので、そんなに大きく体調を崩す事はなくなった。まだ油断は禁物だが。


 馬車の窓から知っている人や魔族の姿が見える。このパレードはあらゆる身分の者が見ているのだ。

 マリエッタとジャンもいる。さっきは家族や師匠のウィリアムの姿も見た。今日はお休みの臣下たちやその家族、友人たちの姿も見える。お忍びの格好をした長老陛下までこそっと群衆に混じってたのはご愛嬌だったが。

 みんな穏やかで優しい表情をしている。手も振ってくれる。


 声をかけたい。名前を大きな声で呼びたい。でも、それは出来ないから手を振りながら心の中だけで呼ぶ。その時に、思わず小さな笑いが漏れたが、パレードの主役が嬉しそうにするのは問題ないのでいいだろう。


 お腹の子もなんだか嬉しそうにしているように感じる。麗佳がそうであって欲しいと思っているからなのだろうか。


 ちらりとオイヴァの方を目線だけで見ると、微笑みが返ってきた。麗佳も微笑みを返す。


 そんな事をしていると、なんだか微笑ましそうな視線がたくさんこちらに飛んでくる。恥ずかしい。でも、こういう時にうつむくのはよくない。


 麗佳はそのままみんなに手を振り続けた。

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