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似非(エセ)カレ~延滞は認めません~  作者: ハルカ カズラ
禁断の幕開け
7/15

2人目のカレシ 最終日 時すでに遅し

                  2人目のカレシ 最終日


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「すみません、エセカレのショウスケさんについてお聞きしたいんですけど?」


「アケノ様、どうされましたか?」


「彼はエセカレ歴どれくらいですか? そして、今までの彼女は何人くらいでしょうか?」


「ショウスケは初めてのエセカレでございます。そのため、彼女につきましてはアケノ様が初となりますね」


「それはあんまりじゃないでしょうか? あんなひどい性格の男性を所属させるなんて馬鹿にし過ぎです」


「大変申し訳ございません。ですが、性格については特に取り決めが無く……自己PRはあくまでも参考程度にしていただけますとこちらといたしましても――」


「……分かりました。今回も正直言いまして、あまり良いエセカレとは言えません。私も勉強させてもらいましたので、3人目の時はお願いします」


「かしこまりました」

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 はぁ。私ってクレーマーになってる? と言うか、初心者はひどすぎでしょ。どこかの婚活会場から追い出されて来た人が登録したように思えてならないんだけど。エセカレは最低でも3日間契約……今日を乗り切れば、次の、いえ、次こそ理想のカレシが出て来てくれるはず。


「アケノさん、お待たせしました。今日は美術館へ行きましょうか」


「あぁ、はい……」


 もうどこでもいいです。今日一日、我慢我慢……そう思っていた私に彼は意外な一面を見せつけた。


「芸術家と言うのは孤独なのです。しかし、ここに描かれた風景画、人物画、そのどれもが観るもの全てを虜にするほどの魅力があるんです。僕が愛してやまないクロード・モネに関して言いますと……」


 な、何なのこの人……まるで別人じゃない。前日までのあのキモさはどこへ消えたの? 喉にオリーブオイルでも流したのかと思う位に次々と言葉が放たれていくわね……なるほどね。芸術を愛する人ってことか。それなら許せるかな。でも残念なのは、私が全く美術に関心のないことなんだよね。不一致っていうのは本当に惜しいことだなぁ。


「各地に散らばる睡蓮は……アケノさんも好きですよね? 睡蓮……」


「えーあー……聞いたことはありますけど」


 本当に”恋”って、判断力とかその他いろいろを鈍らせるなぁ。3日目にして本当の自分を出してきたわけか。残念だわ……これで私が芸術に興味を持っていれば性格その他を含めて好きになれたかもしれないけれど、それは次の彼女の為に発揮してくださいとだけ思っておこう。


「ショウスケさん、今日までありがとうございました。あなたの本当の姿を今日初めて見れました。生き生きとしていて、とても魅力的だと思いますよ」


「そ、それじゃあ、延長してもう一日……いえ、ずっと付き合ってくれませんか? 僕はあなたに一目惚れをしてしまったんです。印象を残すために、初日はあんなことをしてしまいましたけど、本当の僕は……」


 インパクトは残ったけど、それだけよね。私は無理。


「申し訳ありませんけど、契約上、エセカレからの延滞は認められないんです。そう書いていますし、今回お付き合い頂きましてありがとうございました。私が言うのも何ですけど、美術が好きな女子にはきっと、ショウスケさんの魅力に虜になると思います。ですから、頑張ってくださいね」


 何で私が慰めているみたいになっているんだろう。でも、しょうがないよね……初めが肝心だもの。3人目……今度こそは、私から延長を言えるような素敵な人だといいんだけどね――

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