2人目のカレシ 初日、嫌な予感。
2人目のカレシ 初日
1人目のカレシがまさかの従弟だったのは驚いたけど、何となくエセカレがどういうものなのかを知るいい経験が出来たと思えば、リュウヤとのデートもネガティブに考えることも無いよね。
そんなこんなで、1人目はお店で対面してから一緒に出掛けるシステムを選んでいたけど、さすがに知り合いがエセカレをしているリスクがなくなった以上、私は待ち合わせ方式を選び直した。これならいかにも彼氏とデートって感じがするし、会うまでのドキドキを味わえることが出来るのはいいことよね。
2人目の人とは分かりやすく、駅の改札出口しかも一か所しかない所を選んで、待ち合わせを決めた。そこへ向けて、私は急ぎ足で向かった。
駅改札口へ向かうと、それらしき人が立っていた。私はその人へ向かって近付くと向こうも気付いたみたいで、あちらから私に声をかけてきた。
「アケノさん? 時間通りですね。僕はショウスケと言います。今日からよろしくお願いします」
「あ、初めましてじゃなくて、こんにちは。ショウスケさん、はいお願いします」
エセカレとは言え、彼氏彼女関係でビジネス挨拶は基本、やるのはどうかと思って初めましては途中で言い直した。少し年上で落ち着いた人……一人称は『僕』か。ま、まぁそこは気にすることじゃないよね。
「では、時間も丁度お昼ですから食べに行きますか?」
「あ、うん。場所はお任せしていいですか?」
「そうですね。僕の行きつけでよければご案内しますよ」
「そこで大丈夫です」
随分、丁寧な言葉遣いなのね。もっと自然に話してくれてもいいのに、初日だとこんなものなのかな? それともこれがこの人のスタイルかな。ううん、リュウヤがあんな感じだったからであって比べちゃいけないことよね。
「……どうしました、アケノさん?」
「あ、いいえ、何でもないです。そのお店はここから遠いんですか?」
「遠いと言えばそうですね。ほんの2時間です」
は!? に、2時間!? 冗談でしょ? な、何この人……マジなの?
「え、えっと、2時間って軽く県外とかですよね? それはさすがに……」
「駄目ですか? 僕に任せたいってアケノさんがおっしゃったから僕の行きつけを紹介したいなって思ったんです。だ、駄目です?」
お金を出すのは私なんだけど? い、いえ、でも……初日にこんな拒絶してたら駄目だよね。うーん……普通はこんなカレシいるはずないんだけど……どうしよう? 私の求めていたカレシじゃないんだけど、私おかしくないよね? こんなのって何かおかしいんだけど。それともまた外れみたいなものなのかな――