蛹ーさなぎー
光。視界が鮮明化し、僕は静かにベッドの側のスマートフォンに手を伸ばした。
画面は10時を少しまわった18分を指している。
心の中で溜息をついた。
つまらない毎日に対してなのか、想像していた一人暮らしとは少し違ったリアルに対するものなのかはわからなかったが、なんとなく出てしまったものだった。
僕は今年から大学に入学し、実家から少し離れた県外へと居を移した。無論、親からは離れて暮らしているため一人での生活だ。
苦しい受験生活を乗り越えての新天地での暮らしに当初は胸を踊らせたものだった。
しかし、待っていたのはどうにも味のないもので、真っ白な壁が覆う部屋に閉じ込められたような感覚を覚えた。
僕は僕がわからなかった。
お前はこの生活に何を求めていたんだ?
見えない何者かにそう問われた気がしたが、僕は答えられなかった。
そんな空虚な生活を続けている内に、持病にも見舞われた。
何も無い孤独というものがここまで自分を痛めつけることになるなんてことは想像もしていなかったし、それと同時に己の弱さと誰かに依存し続けていた自分の存在に気付いた。
僕はなんて弱いんだろうね?
そう問いかけても、白い壁は僕を無視して楽しそうに笑っていた。
憎いなんて思わないけれど、無視しないでよ。
壁は僕の方なんて向いてもくれなかった。
僕がやること、僕に今出来うることなんてこんなことしかないから、日の暮れた辺りの薄闇に目をくれつつ筆をとる。
孤独は人を壊しうるのだ。
僕は小学生の時に夕方の帰り道で見たボロボロの機能していない自動販売機をふと連想した。




