1話
初めまして、漬物王子です。
今回が処女作となります、小説の”し”の字も知らないど素人なので至らない点や矛盾、おかしいところ盛りだくさんになってしまうかもしれませんが、生暖かい目で見守って頂けると幸いです。
更新はゆっくり目です、最後まで頑張って書きたいと思うのでよろしくお願いします。
「ん……んん?」
朝の日差しに目を焼かれ、ゆっくりと意識が浮上する。
「あさ…………? って、なんで外に居るんだ…………? いや……ここはどこだ?」
まだぼやける頭を叩き起こし、辺りを確認する。周りは緑一色に覆われていて、どう考えても自室ではない。
(どうなってる……? 昨日俺は確か……そうだ、小説を書いていたはず。 夢中になって寝てしまったのか?それがどうしてこんな森の中に居るんだ? まさか夢遊病にでも掛かってしまったのか……? ――――――ありえる。 最近ストレスがやばかったからなぁ。 夢遊病ってどの病院に行けばいいんだ? 精神科か?)
「――――――ってそんな訳あるか!!! いくらなんでもこんな森の中まで来るか!」
(だめだ、いくら考えてもなんでこんな場所にいるかなんてわからん。 とりあえず落ち着こう、現状確認だ。 目が覚めたら見知らぬ森に居て、まともな食糧も連絡手段も無く人がいる気配も無い――――――――――――詰んでね? いやまて落ち着けここは森だ、木の実なんかの食糧があるだろう、水も川があればなんとかなる。よし、なんとかなる気がしてきたぞ)
「そうと決まれば……まずは水を探すか、ついでに食糧も見つかればいいな。 というかマジでここはどこなんだ? 樹海?っぽい所だな。 まぁ考えてもわからないし、とりあえず彷徨うか」
覚悟を決めて卓矢は歩き出す。ここがどこだろうと、森の中でまともな装備もなく、持ち物と言えばインナーにジャージ上下と下着のみ! なにが潜んでいるかもわからないし、慎重に慎重を重ねゆっくりと森を歩いて行く。普段あまり運動しない卓矢にとって森歩きは非常に辛く、容赦なく体力を奪っていった。
「ハァ、ハァ……しんどすぎ……どのぐらい歩いたのか全くわからん。結構歩いたと思うけど、動物もいやしない」
(やばいな、喉が渇いた。早く水を見つけないと。雨でも降ってくれれば……いや、余計に体力を奪われるだけか。くっそ……ん?)
「この音……水!! 水の音だ!! 助かった。あっちか!」
卓矢は音のする方へ走った。体が水分を欲しているからか、さっきまではもう一歩も動けないと思っていたが水があるなら話は別だ。夢中で走り見えてきたのは小さな川だった、水は澄んでいて少し先の岩場から湧き出ているようだ。本来なら川の水を飲むのは抵抗があるが今は関係ない。顔を川につっこみ無心に水を飲んだ。
「ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ、ぷっっはぁっ! 生き返る! 水まじうめぇ! 水がこんなうまいと思ったのは初めてだ。これで水の心配は無くなったな、ん? 水の底で何か光ってるな。なんだ?」
手を伸ばし、水の底で微かに光を放つ石をつかむ。
「これは……綺麗な石だな」
手に取った石を見つめていると、微かに光が増した気がした。その光は美しく、どこか妖艶な光に見えた。
「なんか見たことない石だし、宝石かもしれないし持っとくか」
ぐぅ~っ
「いかん、腹減りが限界だ。あとは食い物か、なにか……お? おお?」
たまたま視線を向けた先に生えいる木に実がついていた。
「木の実だ! 結構あるな! ついてるぞ、あとはこれが……食えるのかどうかだな」
(見た目は柿っぽいが……紫色って……。すごく……毒々しいです。 いやだけど紫の野菜って結構あるしな。うん、よし、食おう。)
「ゴクリッ……いただきます」
シャクッ
「…………甘い、ってこれ梨だな! ってかうめぇ!」
一心不乱に梨(仮)を食べ、喉も腹も満たされて卓矢は一息つく。脳に糖分が行き渡りだんだん冷静になってくる。たしかに飲み水と食糧を確保でき、とりあえず生きる目途はたった。だが現状は森の中、どうにかしてこの森を抜けて人里に出なければならない。だが情報が少なすぎて下手に動けない。そして、非常識だとわかっているが、ある予感・・・ある考えが頭をよぎり離れないでいる。
「まさか……な」
目が覚めたら見知らぬ森に居た。さっきまでは生きるのに必死で思いつかなかったが、これは自分が大好きで夢にまでみた。
「異世界転移……なのか?」
(思い当たることはある。植物とかに詳しいわけじゃないけど、正直こんな植物も木も、見たことも聞いたこともない。異世界物の小説が好きで読み漁っていたが、まさか自分がそうなるとはな)
言葉は悲壮感を漂わせているがその顔は笑っていた。当たり前だ、今まさに夢にまで見た異世界にいるのだ。異世界物の小説が好きな者なら誰でも考えるだろう。転移、または転生。そのどちらかを夢見るだろう!今まさに自分は異世界に転移されたことを知った。それが笑わずにいられるだろうか。
「ハハッ 目が覚めたら森の中とかテンプレにもほどがあるだろう」
(しかし、まだ何か引っかかるな。なんだ? 目が覚めたら森の中、水と食料を求めて森を彷徨い、川を見つけ光る宝石を見つけ紫の梨……?! おいおい、これって。俺が書いていた小説のまんまなのか? なんで今まで気づかなかったんだ)
「フフッ」
自然と笑みがこみ上げる。それもそのはずだ
「ここは俺が書いた小説の世界! もう勝ったも同然だな!!」
(何に勝ったのかはわからんがとにかくここは俺の書いた小説の世界そのものだ。だったらこの後の展開だってそのままのはず! フフッ、笑いが止まらないぜ!この小説は剣と魔法のファンタジー世界! そして主人公は最強でハーレム満載設定だ!!)
「よし、とりあえず次の展開を思い出そう。水を確保して石を拾い、食料も確保したとなると……」
ガサッ
「――ッ!?」
(なんだ?! そうか魔物か!)
小説通りの展開に余裕の卓矢の前に現れたのは身の丈3mはある狼だった。
グルルゥ……
「え……魔物って書いたけど、こんなでかい狼とか聞いてない」
(ま、まぁわかっていたことだ! 大丈夫、小説通りに動けば何も問題はない! さてここからどう料理してくれようか! フフフ……フ? うん……?)
「あ、続きまだ書いて無かった。詰んだわ」