第93話 ケジメ
「クロエさん! 魔力の集中点、どこにあるか分かりますか?」
プレアデス内部の薄暗い通路を、クロエとフィリアは疾走していた。
「魔力ね、えーっと......この先ちょっと行った先の下にある!」
魔力を敏感に察知したクロエが、魔甲障壁発生装置の場所を特定。
通路を抜け、最短コースで走る彼女達は、全体が明るく照らされた広間に飛び出す。
障壁発生装置の破壊は最優先、だが、一つしかない道を塞ぐようにして影が見えた。
ローブを纏った魔導師らしき男と、白色基調の聖導騎士が着用する制服。
答えは明白だった。
「ようこそ我がプレアデスへ! クロエ・フィアレスにフィリア・クリスタルハートさん。お久しぶり......っというにはそんなに経ってませんねえ」
ヒューモラス、そしてフィリアの兄、ヘルメス・クリスタルハートだ。
「兄さんッ!」
七五式突撃魔法杖、次いでクロエがストラトアードを引き抜く。
「フィリアはお兄さんの方をお願い、アイツは......私が倒すから」
剣を構えクロエが前に出る。
「クロエさん!?」
「ヒャヒャヒャヒャヒャ!! 面白い! ロンドニアでは仕留め損ないましたが、その小さい体でどこまで出来るか見ものですよ!! お父上と同じ末路を辿りなさいな!」
ヒューモラスのローブが弾け、中からは魔導師と思えぬ筋肉質な体が姿を現した。
溢れ出る魔力が、二人の頬を撫でる。
「今度は絶対に負けない!! もう誰にも......大切な人を奪わせはしない!!!」