第92話 信念と理想
「クロエ! フィリア! ミーシャ! ルノ! こいつとの決着は私がつけるから、皆は早くプレアデスの中へ!!」
突如現れたティナに、四人は困惑の色を隠せなかった。動きが止まり、各々が唖然とする。
だが、停止しかけた小隊は次に発せられた副隊長の言葉によって蘇った。
「皆聞いたね? アイツは隊長が倒してくれる! 無事を確認出来たなら、私達には隊長の命令を聞く義務がある。ここは任せよう」
様々な事象を鑑み、総合的に判断したのはルノ。
兵器内には味方の存在が確認され、何より今この瞬間も王都へ向かうプレアデスを見れば、答えは自ずと導き出された。
「ティナ! 絶対......絶対負けるんじゃないわよ!!!」
ミーシャが叫ぶと同時、四人は階段目掛けて走り出す。
「当たり前じゃない。ミーシャこそ、絶対成功させなさい」
込み上げる感情を押し込め、ティナを除いた三遊はプレアデス内部へと侵入していった。
「......同じヤツの相手を三度もするなんて初めてだわ、ティナ・クロムウェル。人間の言葉に三度目の正直という言葉があるけど、今度こそ終焉の瓦礫に埋もれてさせてあげる」
『血界魔装』を纏ったエルミナが、殺意と覇気に満ちた瞳を向ける。
「あなた達に理想や信念があるのは分かった、でもそれは私達も同じ。壊してでも手に入れたいと切望する者から国を守るのは、私達騎士の責務だから」
「国家の操り人形め! 思考を放棄して隷属するだけの存在に、私を止められると思うなあッ!!!」
とめどなく溢れ出る魔力、戦力差は絶望的、引く道は無し。
それでも戦おうとティナは誓う、大好きなあの街へ帰るために、彼女は二本の剣を両手に構えた。
投稿ペースは不定期ですが、この作品だけはなんとしても完結にもっていくつもりです。