表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/101

第91 エルミナ・ロード・エーデルワイス


 古代兵器プレアデスに乗り込んだ第三遊撃小隊は、今向かってくるファントムに対し、無双に等しい戦闘を展開していた。


「三時の方向! フィリア!!」


「了解です! 穿て!『レイドブラスト』!!!」


 爆炎に舞うは流麗な少女達、蒼空を模した制服が戦場を飾り、《ストラトアード》が瞬いた数だけ影が四散する。


「目指すは階段! こんな雑兵で――止められると思うなあ!!!」


 地獄の業火が暗き影を照らす。同時に巻き上げられた風は、暴れ馬のような炎を力の限り引きずり回した。

 黒煙が遺跡を彷彿とさせる機上に満ち、ファントムは一瞬とはいえ攻撃目標を見失ってしまう。


「ティナは返してもらう! 五人一緒に帰るんだッ!!」


 漆黒の黒髪をなびかせ、紫の閃光が走り回った。

 近接戦闘術は『マジックブレイカー』と合わせ技にし、美しくも凶暴な連撃を叩き込む。


 甲板上を埋め尽くしていたファントムは激減、たった四人の少女達によって駆逐されていった。


 友達を助けるついでに国も救う。守るべきものを背後に持ち、取り戻すと決めた者がいる彼女達を止めることは、戦艦を座礁させるよりも困難を極めた。


「『ブラッディーノヴァ』!!!」


 兵器内へ繋がる階段の手前、迫りつつあった三遊を止めたのは、真下から突き上げた火山が如き吸血鬼の一撃。

 間一髪避けきったところで、膨大な魔力を両腕に宿したそれは現れた。


「まただ......またお前らは、お前ら人間は私の理想を邪魔してくる! これ以上は進ませない!!!」


 桃色の髪を揺らし、エルミナ・ロード・エーデルワイスは眼前の敵に立ちはだかる。

 理想を、夢を叶えるため、彼女もまた信念を貫き通すのだ。


「ここは私達の国だ!! 何人たりとも不可侵であり、貴様らに壊させはしない!!! 誰も迫害されない自由の国なんだ!!」


 故に叫ぶ、この場に悪などいない。お互いがお互いの国を守るための、正義と正義のぶつかり合い。

 眼前の侵略者めがけ、ありったけの魔力と共にこぶしを突き出す――。


「っさせるかああああああああッッ!!!!!」


 激震が走る。爆裂魔法に匹敵するエルミナの拳を止めたのは、二本の剣を携えた金髪碧眼の少女。


「バカなッ!? なんであんたがここに......!!」


「帰る場所を守るのは私達騎士の責務! 牢屋で寝てる訳には――――いかないのよッ!!!」


 王国軍第三遊撃小隊隊長、ティナ・クロムウェル。

 救出された彼女は二人の騎士から《ストラトアード》を預かり、ボロボロながらも威厳をもった蒼国の騎士が証を纏っていた。


「「「「ティナ!!!」」」」


 四人が叫ぶ。

 同時に、通信用魔道具から男性の声が響く。


『こちらオライオン01(もとい)、アミアン一等騎曹、潜入に成功した我々はこれより魔甲障壁発生装置の破壊に向かう。第三遊撃小隊はプラエドル構成員の撃滅に専念されたい!』


 戦争は終局へ向かう。想いと想い、信念と信念が衝突し、その命は最も輝きを強くする。


新作【神? それは殲滅すべき悪の権化です】の連載を始めましたので、そちらも是非。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ