表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/83

74.狩り場

わしじゃ、アルブレヒトじゃ。

わしはミルドに急かされて、西の海岸線に来ておった。

船員たちには見つかかった事を連絡して、随時撤収してもらっとる。

今頃、酒場で食事と酒をやっているじゃろうな。

いつものパーティーにユアサも同行して、ミルドが聞いた助けを目指して砂浜を歩いておると、街から2-300mの海岸線にポッカリと口を開けた洞窟があったのじゃ。


わしらは、ランタンとタイマツを用意して、洞窟に入ったのじゃ。

入り口は腰丈程度の水深があり、海水で侵食されたのか横には広いが天井は低い。

しばらくはそのままの水深じゃったが、次第に水深は浅くなり、遂には水が無い岩肌の地面になったのじゃ。

入り口からここまでは20mほどで、ここからは急に横幅が狭くなり2-3mといった所じゃ。

わしらは更に10mほど奥へ進む、するとそこには、狼の子供がおったのじゃ。

どうも、ミルドの耳には、わしらには聞こえない様な音までも、聞こえておるようじゃな。

わしらに怯えて後ずさりするのを見ると、初めてミルドにあった時みたいじゃった。

ミルドは、語らず狼の子の目を見ておるだけじゃったが、お互い緩やかな意志の疎通ができておるようじゃった。

ミルドは、この子は迷子で群れから離れたみたい、帰りたいけど出口に奴が居て出られなくなったって言ってる。

「来るときには何もおらなんだが、まぁ連れて出てやると言っておくれ」

と、言うと用心のため武器を構え、出口に向かうのじゃった。

出口から20mの広くなった場所で、そのまま足を水に付けようとすると、狼の子が激しく吠えたのじゃ。

低くなった太陽光が洞窟の壁を照らし反射する。

洞窟に広がる水面は、光に照らされキラキラと揺れ、沖の方から入った波がただ洞窟の奥へと伝わって居るだけに見えたが、10m先に波が左右に別れ浅くなっている場所があるのじゃ。

いや、あれは浅くなっているのではなく、何かが潜んで居るのじゃ。

その証拠に波に揺られて微妙に上下しておる。

クレイはクロスボウで、リーシャはショートボウでそれぞれ攻撃する、矢はそれぞれ飛んで行き水面に突き刺さって止まるのじゃった。

飛んで行く矢を注視しておったわしらには、それが取った反応は予想外じゃった。

わしらの直ぐ近く、さっき足を入れようとした水面から触手が飛び出してきたのじゃ。

その触手はタコの触腕そのものであった、ただしスケールが想像よりはるかに大きかったのじゃ。

身体をもたげ、逃すまいとしてか足を広げ、その触腕で攻撃を仕掛けてくる。

このジャイアントオクトパスはこの洞窟を狩場としておるのじゃろう、入るものを拒まず出るものを捕食し、助けを呼ばせて餌を増やすのじゃ。

クレイは盾とソードに持ち替え、わしも盾と刀で牽制しミルド達を洞窟へ下がらせる、ユアサはクレイのクロスボウを受け取って使うようじゃ。

いつもの前衛二人残り後衛のスタイルで戦うが、相手は8本足、2本は体を起こし安定させるのに使っておるが、それでも6本を捌くのは難しいのじゃった。

しかも、表面はヌルヌルして筋肉質で硬い触腕は中々切れない、わしは何度か切ったが先が短くなるだけで、本数を減らすには至らないのじゃ。

およそ10m近い巨体は、弓は当たり弩弓も当たってはおるが、体力を奪うほどの出血は望めそうもないのじゃった。

そうこうしておる間に、わしもクレイも盾を触腕で吸い付かれ奪われておる、今では両手で武器を扱い、刀一本で攻守をこなさねばならなかった。

突破の糸口も掴めぬまま時間は過ぎてゆく、クレイの方はともかく、わしの体力はそろそろ尽きかけておる、何とかせねばと焦るばかりじゃった。

しかし、意外にも根負けしたのはジャイアントオクトパスの方じゃった。

奴の大きな身体に対して、洞窟は狭く浅い、そこで長く戦った為、酸欠になっておった。

息苦しくなった奴は、洞窟を出て外の海水を吸いに出ようとしておった。

そこに、槍の様な大きさの巨大な矢が飛んできて、ジャイアントオクトパスの身体に突き刺さる。

その勢いは、それだけに留まらす、身体を貫通し、浅い海底にまで突き刺さり、奴の身体を縫い付けたのじゃ。

巨大な矢を打ち出すバリスタを、巻き上げては撃ち、巻き上げては撃ち、それをやっているのは、わしの船とその船員達じゃった。

終には、ジャイアントオクトパスは海底に縫い付けられたまま、力無く波にゆらゆらと揺られるままとなった。

「あんまり遅いんで、また迷子かと思いましてね。お迎えに来ました」

と船長が口に手を当て大声で言う。

わしらは助かったのじゃ。


"今頃、酒場で食事と酒をやっているじゃろうな"

なんて思ってて非常に悪かった、反省じゃ。


わしらは洞窟を出て狼の子と別れた、あの子の群れは今もどこかに居るのか、それとも助けに来てジャイアントオクトパスにもう・・・

去っていく狼はこちらに振り返ると、一度だけ遠吠えをして去って行ったのじゃった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ