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71.蟻

わしじゃ、アルブレヒトじゃ。

わしらは海を背にジャイアントアントの群れに囲まれておった、これが本当の背水の陣じゃな。

こちらの数に対してアントの数はずっと多い、しかもジャイアントソルジャーアントは体長2-3mと大きく、硬い体を持っておった。

対してこちらは船員のほぼ全てが水兵で、各々武器を持っておったが軽装であり、あの硬い殻を打ち破れる武装を持つものは少なそうじゃ。

わしとクレイは皆より前に出て、盾を巧みに使って攻撃を捌いておった。

水兵たちは、カットラスやサーベルで群がってくるジャイアントアントを切り裂いて行く、弓矢は弾かれるものの弩弓は効果的にアントの殻を貫通した。

わしはとクレイはソルジャーアントの足だけを狙い、脆い関節部分だけを攻撃していったのじゃ。

それも右か左どちらかに絞れば、3本切れば全く動けなくなる、そうして動けないソルジャーアントのトドメは弩弓に任せつぎのソルジャーアントに向かっておった。

戦いだしてどの位経ったか、水兵たちは善戦し、かなりの数のアントを退けた。

それにしても敵の数は、一向に減らない、最初に見えたソルジャーアントは5匹だったが、既にそれ以上の数を屠っていた。

次から次へと増えていく、これはマズイかもしれないと思い始めた頃、被害を受ける水兵達が出だす、みな気がついて焦りが出ておるのじゃ。

一度戻っていたボートが引き返してくる、しかし乗るものは居ない。

乗れば残ったものがどうなるか、今非常に危ういバランスで保っている戦闘が、一気に劣勢に成ると分かっておった。

ボートで戻ってきた船員達は、予備の帆を広げわしらの後ろに広げ始める。

わしらは一体何をしているのか分からなかったが、それを気にして考える暇など持ちあわせてはおらんかった。

その時じゃ、キャラベル船が砂浜に近い浅瀬まで突っ込んできておったのは。

後ろを見る暇がなくて気が付かなかったが、船は砂浜から15mほどの推進浅い所まで来ておった。

そこからゆっくり、挫傷しないように近づくと、

「全員帆より下がれ!」

と船長の大きな声がする。

わしらが砂浜に敷かれた帆から下がると、船員の一人が帆の端を焚き火に投げ入れる。

そこから瞬く間に炎が広がり、炎の壁となった。

帆の真上に来ていたアントは焼かれもがく、帆よりこちらに来ていた物を重点的に倒すと、浅い海を船に向かって走りアミ状の縄ばしごに掴まった。

船員達が船を沖の方へ押し戻し、船は陸から離れていく。

わしはハシゴを上り、甲板上で船長に話しかける、

「助かった、間一髪じゃったわい」

「良かった、誰も欠けて居ない様ですし奇跡ですかな」

「しかし、あの帆は良く燃えたな」

「あれにはボートで移動中に、オリーブオイルと度数の高い酒を染み込ませながら持って行かせてまして」

「なるほど、名案じゃ。流石は船長」

「しかし、樽の水を得るのに随分と大盤振る舞いしてしまいましたな」

「たしかに、大赤字じゃな」

命の心配が無くなって、腰を下ろすと疲労で立てなくなってしもうた。

あの島の生態系の頂点は、あのアント共であり、動物たちはみな狩られて居なくなってしまったのじゃろうな。

どうも、久しぶりの肉に、テンションが上がっていたのは、わしらだけでは無かった様じゃ。


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