67.人
わしじゃ、アルブレヒトじゃ。
わしは遂に念願の船を手に入れたぞ。
しかし、船だけでは動かぬ、船員が必要じゃ。
わしは船長を飲みに誘い、なんとか船を動かして貰えるようお願いすることにしたのじゃ。
「やぁ船長、ご機嫌はいかがかのぅ」
「おおー<船団長ご無沙汰でした」
船長は、手だけで酒を注文しながらそう応えた。
「船団長はやめてくだされ、あの航海でわしは海のことなど、これっぽっちも分かっておらんかったし、ただ船に乗っておっただけじゃ」
「しかし、あれで戦争の方はあっさり片付いちまったんだから、たいしたもんです」
と言いながら船長は酒を一気に煽った。
「わしはその褒美というか代償に船を貰ったわけだが」
「あれはいい船ですよ、小型だがその分足が速く小回りがきく、輸送の仕事にゃちょっと小さいがそれ以外は優秀だ」
「そうじゃな、船長はあの船に乗ってどのくらいじゃ?」
「あの船が出来てすぐですよ、もう4年になりますかねぇ」
わしは酒を進めながら
「そうか、では他のものに任せるのも忍びなかろう。わしとジパングまで言ってみんか?」
「あっはっは、いいですねぇ。しかしわたしもウェイン卿に使える軍人ですからねぇ」
まじか、以外にエリートじゃった。
「なに国を捨てるわけじゃない、ちょっと行って交易ルートを探るだけで」
「まっ、実のところジパングに行って来いとはいずれ言われるでしょう」
「???」
「じゃ、ごちそうさまでした」
あっという間にジョッキ5杯を平らげ、船長はヨロケもせずに手を上げて店を出て行った。
まぁ、まだ戦争もおわったばかりじゃ、しばらく待つのもよかろう。
わしが宿に帰ると、いつものメンバーがおった。
それでスルーしそうなほど自然にローラもおった。
「ローラ様はこの国の女王様じゃなかったのかのぅ?」
「その認識は間違ってませんよ」
「なんでこんな安宿にいらっしゃるのじゃ」
「わたしは、船の件で用事があったのですわ」
「おお、そうじゃ、船員が全員この国の水兵じゃった。新しい船員がおらぬと船が動かんのじゃ」
「そぅ、ですからアルブレヒト様に船を、わたしが船員をそれぞれ出してジパングに行きましょう、と言う話を持ってまいりました」
その提案は渡りに船じゃ、しかし、
「それは嬉しい申し出じゃが、ローラ様に得があるのかのぅ?」
「それはわたしも乗りますから」
なんとアクティブな女王様、
「女王様じゃよな?国はよいのか?」
「冗談です、代理でラファエルを乗せて行って下さい。
彼には航路開拓と周辺国の資源や特産品の調査、この国と貿易を行う国を探してきて貰います。
戦争で失った戦費を稼ぐには、貿易しか無いのです、国有の貿易会社作って一気に挽回しますわ」
なるほど、水兵を遊ばせる暇はないと、船長の言っておったのはこの事じゃな。
「船の持ち主のアルブレヒト様が行き先を、船員達はそのルートをそれぞれ選択するのです、十分こちらにも得のある話ですわ」
「助かる、その話乗ることにするぞ」
こうして、わしの船は船員を得ることが出来たのじゃった。




