66.交渉
わしじゃ、アルブレヒトじゃ。
11月中頃のある日、元エイボン国の貴族連合軍は、残りの3割の国土を取り戻すべく侵攻を開始した。
少し遡って、ファランシス国は11月上旬に、国境を接する6カ国がすべて国境に兵力を集中している事に気がついた。
一つ一つの国はファランシス国より弱くても、6カ国となると無視は出来ない。
しかし、国境全てに分散して配置してしまうと層が薄すぎて何処からも守れなくなってしまう。
結局は、最小限度の国境戦力を残して、中央に戦力を集めたのじゃ。
そしてわしらが商人に偽装し、商品をばら撒いてお願いしておったのは"11月になったらファランシス国との国境に兵を配置すること"じゃった。
これこそが、後払いの代金だったのじゃ。
そこに元エイボン国の貴族連合軍は攻め入った、ファランシス国は越境してきた国に対して中央の軍をぶつけるつもりで軍を引いておったが、いざ攻められるとこの軍を国境まで向かわせていいものか悩んだのじゃ。
他に越境して来る国が無いとも限らない、もし脅しだったとしても、中央の軍を派遣したのを見て何時攻めに転じるかもしれないと。
結局は軍議を重ねた結果、これ以上侵入されないように守備の為の最低限の兵を送るのじゃった。
元エイボン国の貴族連合軍は急ぎ進軍し、そして元の国境線まで攻め取ると、国として独立を宣言し勝手に停戦した。
ファランシス国の、守備のための援軍は間に合わなかったのじゃ。
12月になると6カ国全ての国の軍隊が元に戻った、ファランシス国は中央に集めた軍で、エイボン国に攻め入ろうとするが、出来なかった
ローラはファランシス国と領土を接する地域を分割し、それぞれ南のニード国と北のトルリア国に譲渡し、その代償に同盟を結んでおった。
エイボン国とファランシス国の隣接する国境は無くなり、これで直接侵攻されなくなった、依然海路で攻める手立てはあるものの、それだけの船を用意するのは時間が掛かる。
譲渡で領土を失った貴族には、元々は王家の直轄地だった土地をわけて与えた。
この地域は元々小国が乱立しており、何処かの国が強くなりそうになると、回りが足を引っ張り、それぞれが監視しあって一国だけ強くならないようにしてきておった。
それがこの地域の国々の安全保障だった、その中で頭一つ強くなってしまったファランシス国は回りの国から疎まれていたのじゃ。
そこで、昔の安定していた頃の地図に出来るだけ戻しましょう、と贈り物を持って説得して回ったわけじゃな。
各国のお偉方に会うのに、わしのネームバリューを最大限に利用した作戦だったのじゃ。
作戦は成功し、6カ国すべてが国境に兵を配置する事になったのじゃ。
わしらは、その報酬としてキャラック船を手に入れたのじゃった。




