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64.移譲

わしじゃ、アルブレヒトじゃ。

わしらは領主との面接のあと、ローラと別れて街に出て来ておった。

事が大きすぎて、わしらの出る幕が無いんじゃないか?と言う心配も然ることながら、パーティーをこのままで良いのか?と言う心配じゃ。

クレイやリーシャ、シシリーは冒険者であって、兵士でも傭兵でもない、しかし戦うだけの力を持っているだけに巻き込まれる心配はあるのじゃ。

ローラから言われて出した、こちらからの条件で積極的に戦争に参加はしないが、巻き込まれる事もあるじゃろう。

わしらは宿で、話し合うことにしたのじゃ。

「クレイ、リーシャ、シシリーわしに付いて来てくれたことに感謝しとるぞ。

しかし、これから先どうなるか解らぬ状況じゃ、下手をすれば戦争に巻き込まれ命を失う事も考えられる。

もし、国に戻ると言うのなら、それも構わないと思っておるのじゃ」

クレイは

「そのことに付いて、実は既に三人で話をしていました。

身寄りの無い僕達にとって、孤児院は故郷です、でもあそこは帰る場所ではないのです。

今は根無し草の様に旅をしていますが、いずれ冒険を通じて人に必要とされる様な人物になりたいのです。

少なくとも今は、このパーティーで必要とされる様に成らなくてはいけないと、そう思っています。

今回のことは、成長するための経験と割り切ることにしました、ですから僕達も一緒に付いて行きます」

「承知した、これからもよろしく頼む」

と言った所で、フィリスが

「軍馬が戦争から逃げちゃ話にならないスからねー」

とカッコ付けた口調で言うので、

「そうじゃな、お前は元から連れて行く気じゃったよ」

と言っておく。

問題はミルドじゃな、この旅の途中で10歳になったとはいえ、何処かに預ける場所もなし。

と、宿の部屋にノックする者がおる、

「どうぞ」

と言うと、入ってきたのはローラだった。

もう女王様なのじゃなかったのかのぅ、気軽に宿屋に来て平気なんじゃろうか?

ローラは回りを見渡し、皆居るのを見てから、

「えーと、みんな色々と心配だろうと思って、早めに伝えておこうと思って急いで来たんだ。

実は皆さんには戦争どころか、護衛もしてもらいません、しばらくは冒険者であることを忘れ、商人をしてもらいます」

わしらは、言っている事がよくわからんので聞き返した、

「商人? 何をすればいいんじゃ?」

「もちろん、商品の仕入れや販売なのだけど、まずはここに乗ってきたキャラベル船にテグ船を2隻足して、船団を組んでもらいます。

まぁこちらは、次の段階が上手く行ってからなんだけど」

ますます解らんくなったのじゃ。

「取り敢えずはミルドちゃん含め、みんな一緒に居て大丈夫って事で。

あとは次の段階になったら説明しますわね」

と、言って扉の前に待たせていたラファエルと共に去っていった。

ローラは最近悩んでおって静かじゃったが、元々座長だった時はあんな感じじゃったのぅ。

本調子に戻った、と見るべきなのか?


そして三日後、ローラは会合に集まった四貴族に、自分への全権の移譲を求めたのじゃ。

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