62.帰国
わしじゃ、アルブレヒトじゃ。
わしらの乗っている船は、次の港街モームで積み荷を積み替え、西に戻っていく。
わしらはその港街モームで降りて、次の東へ行く船を探さねばならん。
船が港に着くと、荷降ろしを手伝う、まぁこれも含めての船代じゃったので仕方がないがのぅ。
それが終われば、港を回って停泊している船の船長に、声を掛けて回る。
今回は比較的直ぐに東へ行く船が見つかった。
出港は明後日の朝、荷の積み下ろしと海賊が出たら戦う条件でロハで乗せてもらえる。
では宿でも探すかと、わしら一行が歩いておると、
「ローラ様、お探し致しました。」
と、前の港で一悶着あった刺客? が立っておる。
どうも前回の発言から刺客ではないと思われたので、
「わしはアルブレヒトと申す、道端で話すのもなんですし、昼でも一緒にいかがですかのぅ」
と誘ってみた。
彼は、前回とうってかわった対応に、戸惑いながらも了解したのじゃ。
わしらは少し遅目のランチを食べながら、彼の話を聞いておった。
彼は魔術師で名前はラファエル、刺客では無く、連れ戻しに来たほうじゃ。
彼の父はエイボン王国の貴族で、領主であったそうな。
じゃが国が滅んでファランシス国に併合され、耐え忍んでおったそうじゃ。
2年前、元エイボン国の領主達は連合軍を結成して、ファランシス国に奪われた国土を回復しようとしたのじゃった。
国土の7割は勢力範囲に収めたが、ファランシス国の切り崩し工作によって、連合軍は停戦派と戦闘継続派に分裂し、勢力が衰えた。
そして現在戦況は膠着状態になっておるらしい。
元王家の血筋を持つローラを旗頭に据え、分裂した派閥を一本化出来れば、国土の回復を果たせるだろうと言うのじゃった。
「そのためにも、ローラ様には国に戻って来て頂きたい。
そして、国が復活した時には女王となって国を治めて頂きたい、そう思っております。」
ローラは悩んでおる、船で話をした時に、わしはそんな気がしておった。
わしには、ローラが戻った所で派閥の一本化がスンナリと成るようには思えんかったし、元の国境線まで敵を押し返した所で直ぐに戦争が終わるとも思えんかった。
戻れはローラは辛い思いをする、そしてヘタすれば殺される。
じゃが、ローラは賢明じゃ、わしが口を出さずともそんな事は考えておる、その上で悩んでおる。
じゃからわしは何もいわず、ローラの選択に任せるのじゃった。
「わかりました、一度戻ります。そのうえで話し合い今後をどうするか決めようと思います」
それが彼女の選択じゃった。
「よかった、お戻り頂けるとは」
ラファエルは素直に喜んでおった。
ラファエルは船を自前で用意しておった、じゃからわしらを追い越して港に付いておったのじゃが。
そしてローラは、まず戻る条件にこの船の譲渡を求めた、ラファエルは独断では決めかねるとの事だったが、最終的には了承した。
そして、この船をわしらに譲渡する代わりに、しばらくエイボン国に来て護衛をして欲しい、と言うのじゃった。
もし船が手に入れば、ジパングはぐっと近くなる。
それにローラを放っとけない気もしたので、話を受けることにしたのじゃ。




