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57.井戸

わしじゃ、アルブレヒトじゃ。

わしらはシンシリの街を発って、港街エグリスを目指しておる、ジパングまでの遠い道のり、船に乗らねばとても辿りつけぬからじゃ。

シンシリからは徒歩で2日、フィリスを助けるため引き返したのも、この街道の途中じゃ。


2日後、今回は盗賊などに出会うこともなく、無事港街エグリスに付いたのじゃが・・・

何やら様子が変じゃ、港街の割に活気もなく人通りも少ない。

まずは港へ行き船の様子を見に行くのじゃ。

少ない時で週1隻、多い時で4隻ほど入るそうじゃが、港に付けておる船は逆方向の西へ向かうそうじゃ。

しばらくは、船を待つことになるやも知れぬな。


次に、ギルドで情報収集じゃ。

と、ここで何やらキナ臭い話を聞くことになってしもうた。

今、この街の井戸に毒が投げ込まれ井戸水が汚染されており、使えないそうじゃ。

毒水は、煮沸しても毒性が消えず、飲むと嘔吐、下痢を引き起こし、酷いと脱水症により重病化するそうじゃ。

街の隣が川で、煮沸すれば飲めるのじゃが、川から離れた場所では水の調達が大変なのだそうじゃ。

そして更に問題なのは、川が国境線で、川向うにも港街があり、今回の毒の投げ込みが、隣り街ノボスの者によって行なわれた、とまことしやかに噂されておる事じゃ。

元々2つの街は、隣り合った港街で寄港する船を取り合うライバルであった、そして井戸の毒投げ込みの直前には、港街エグリスの関税引き下げが行なわれており、そのことに対するイヤガラセともとれるのじゃった。

今この2つの街の険悪度は最高に高まり、いつ爆発するか解らぬ状況にあったのじゃった。


ギルドは両方の街に支部を置いている関係もあり、調停役を買って出ておる。

真相を究明し、それを持って和解の材料とするため、広く冒険者を募り調査しておるそうじゃ。

当然、わしらにもその依頼が来ておる。


しかし、わしらが向かったのは教会と病院じゃった。

フィリスが、わしの腰を治そうと取ってきた、ユニコーンの角があったからじゃ。

ユニコーンの角は、煎じて飲めば全ての毒を解毒できるのじゃ。


これにて毒に苦しむ人は救えたが、問題は井戸の毒じゃ。

しかし、今日はもう日が落ちる、ひとまずは宿屋に行き部屋をとって夕飯をとるのじゃ。

宿屋一階の食堂で、夕飯を取りつつ今後に付いて語り合っておった。

ここは一つ、毒の専門家シーフに聞くのが良かろうとリーシャに聞いてみると、

「毒としては良くある中毒症状だけど、殺しに使うような神経毒ではない。

また井戸水は地下水脈に繋がっているから蔓延したとしても、投げ込んだとしたら凄くたくさんの量になる。

だから生物由来の毒であることは考えられない。」

「結果としては、化学生成した毒の可能性が高いとの事じゃな」

「そうなると思う」

ギルドで聞いた分布では、この街の井戸ほぼ全部が中毒範囲に入っておった。

ふと、思いついたようにローラが

「んー、ちょっとだけ思い当たる節がある気がする、明日調査に行かない?」

と言って、ギルドで買ったこの辺りの地図を見ながら言ったのじゃ。

これと言ったあてが全く無いわしらは、ローラの言う調査に、明日から付き合うことにしたのじゃ。

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