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56.酒宴

わしじゃ、アルブレヒトじゃ。

フィリスを連れて人間界に帰還したぞい。

クレイ・シシリーと合流して、街道まで半日、街道の馬車に乗り換え数刻、シンシリの街に帰ってきた。

馬車を返却し、宿屋に戻ると、宿の一階にある酒場の一角でちょっとした酒宴を開くのじゃ。

「皆には数日もの間、わしらを待たせて心配させた。

これはその詫びじゃ、好きなだけ飲んで食べてくれ。」

と、ご機嫌なわしが挨拶して乾杯する。


みな幻想郷で在ったことに興味があるらしく、色々とその時の話をしながら酒を飲んでおったのじゃ。

幻想郷に入ってすぐ、スカウト妖精に会った事や、見つからぬように洞窟へ行った事、檻の鍵を刀で両断した事などなど。

クレイは、わしの話をウンウンと頷きながら聞き入っておったし、リーシャはお肉ばかりを自分の皿に沢山よそって、それを口に詰め込むと酒で喉を潤しておった。

シシリーは、皆の倍くらいのペースでお酒だけ飲み続けておった。

ローラは、ミルドにテーブルマジックを披露しながら、合間合間に喉を潤すように落ち着いて飲んでおった。

フィリスはジョッキ片手に歩きまわり、皆に絡みつつ飲んでおった、迷惑な奴じゃ。

じゃが、皆も絡まれて嬉しそうじゃった。

しばらくすると料理は無くなり、酒の入ったジョッキも空になり追加の注文をする。

前回、この街に来た時は、こんなに楽しくこの酒場で酒を呑むとは、考えもできなんだ。


追加の注文も全部来て、まだまだ宴もたけなわといった所で、追加の注文に混ざって一皿多めに持ってこられた、そして酒場の大将が、

「前回来た時と打って変わって、今回は皆さんご機嫌ですね。

こいつはここらの名物なんですよ、サービスしますんで食べて下さい」

と言う。

わしは、ナマの肉なんで用心して見ておると、肉と見てサッとリーシャが取って食べる。

「おいしい! 柔らかくて口の中で溶ける、脂身も甘い」

と絶賛する。

このままでは全部食われると、みんなも箸を伸ばして取り合うのじゃった。

「うん、旨い。」

皆一様にそんな感想を持っておった。

わしは、

「ご主人、この料理はなんと言うのじゃ? 良ければもう何皿か欲しいのじゃが」

と言うと、酒場の主人がカウンターの中から応える。

「馬刺しっていって、馬の肉の刺し身でさぁ」

ブフォッ、

「あ、すまぬ。追加は無しで・・・」

振り返るとフィリスは固まっており、クレイは喉の奥に指を突っ込もうとしておる、それをシシリーは必死で止めておった。




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