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54.牢

わしじゃ、アルブレヒトじゃ。

わしは、妖精のボレと一緒に神様の神殿近くに幽閉されている、フィリスの元に向かっておる。

ボレにあの後に聞いた話では、あの神様は早急に幻想郷の住人を増やして、戦力にしたいらしいのじゃ。

そこで、グリフォンと馬を交配させて、ヒッポグリフォを産ませたかったらしい。

しかし、その企みを知ったフィリスに罵詈雑言浴びせられて、キレた神様はフィリスを幽閉しおった。

更に、何故かグリフォンは死んでおり、それも神の怒りを買った。

ボレも新たなグリフォン候補をスカウトするように言われてはいるが、乗り気になれないそうじゃ。

神様は戦争でも始める気なのかのぅ。


一日目、案内するボレのおかげで順調じゃった。

見つからぬようになるべく戦闘は避けたいしのぅ。

二日目の昼には神殿近くまで来た、フィリスの幽閉されておるのは、更に山を登った中腹辺りらしい。

ドラゴンに暗闇は関係なく、闇を見通す力があるのじゃ。

夜を待たずに、わしらは見つからぬように隠れて神殿脇を通過し、山を登った。

フィリスが囚われておる牢に付いた、それは巨大な1枚岩を15mほど繰り抜いて洞窟にし、10mほど入った位置に鉄の格子が填め込まれておった。

わしは洞窟に入ると、フィリスに声をかけた

「フィリス、フィリス。遅くなったな、息災か?」

「アル様! 来ちゃいましたか、そんな気はチョットしてました」

フィリスが目を潤ませる、

「やはりお前は連れて行く、残して行くことは出来ぬでな」

「はいっ!」


しかし問題は、どうやって出るかじゃ。

格子の太さは4-5cmの金属製で縦横に15-6cm間隔になっておる。

扉も格子になっておるが、一番下だけは食事が入れられるように、格子3っつ分の幅が開けてある。

扉には閂がしてあり、それを大きなカギで固定しておる。

牢は元々は閉じ込めるもの、中から手が届かない様にしてあれば、閂や鍵は、牢ほど丈夫である必要はないのじゃ。

牢を壊して出るのは無理でも、鍵か閂をどうにかすれば、十分抜けられるような気がするのじゃ。

閂は15cm×5cmほどの金属製、となれば鍵か。

鍵は大きな南京錠、シャフトの部分がなるべく露出しないように工夫されており、見えるのは2-3mmの隙間だけじゃ。

ここなら太さは4-5mm程度、ここしか無いとわしは思ったのじゃ。

刀をスラリと抜くと、両手で刀を持ち、上段に構え集中しておると、

「アル様ー、鍵壊して開ける鍵が有っても開かなくなる、なんてのはやめてくださいよー」

わしは「ふしゅぅ」と音がしそうな位に気が抜けた、

「気負いすぎておったかの、開かなければ諦めて帰るとするか」

「すんません、すんません」

軽口を叩いて適度に緊張の抜けたわしは、また上段に刀を構え、少し間を置いて「せっ」と振り下ろす。

キンッと澄んだ音がして、鍵のシャフトは切れていた。

鍵をはずし閂を抜いて扉を開けると、フィリスが抱きついてきて鼻声で、

「怖かったっす」

とボソリというから、わしは無言で頭を撫でてやった。

「さて、帰るかのぅ」


そして、わしらは牢から外に出ようとする。

すると、急に暗くなった。

牢の入り口には、黒く大きな影と金色の光る目が2つ見えていた。


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