51.神様
わしじゃ、アルブレヒトじゃ。
わしらは幻想郷の出口、妖精の道へと進んでおる。
フィリスとは、あの場所で別れたきりじゃ。
わしは、置いて行きたくなど無かった、でもあの圧倒的な力を持つ神を名乗る古代龍に、歯向かうことなどできなかったのじゃ。
己の無力に苛まれ、後悔をしていても、足は自然と進み行くものだった。
わしは、別れ際に振り返った寂しそうなフィリスの顔を、忘れることはできんじゃろう。
出口の妖精の道までは、妖精ドナの姉、妖精ボレが道を案内してくれるのじゃった。
この妖精ボレと言うのは、シュバルツ三世だった頃のフィリスを迎えに来て、進化転生をさせてくれた妖精じゃ。
妖精の道までは、まだまだ長い道のりじゃと言うのに、誰も何も話をすることができんかった。
夜になり野営をし、わしは火の守りと付近の警戒に起きておった。
はぜる焚き火を眺めておると、妖精ボレが飛んで来て、近くの樹の枝に座った。
「妹の事、ありがとう。それでこんな事になるなんて・・ごめんなさい」
「あの時、わしは止められんかった。なんと言えば良かったのかのぅ」
「神様のお考えは分からないけど、説得は多分ムリだったと思う、神様は何か私たちに分からないことを考えてるから」
あの時のことを思い出し、独り言のようにわしは言った、
「そういえば、「ドラゴンは世界が裂かれる前から、その世界に居たものだ」、と言っておったが、あれはどういう事なんじゃろうな」
「それは、昔の大昔の話なんだよ・・・」
と、ボレは語り始めた、
「大昔、この世界はもっと大きな世界だったんだ、でもある時大きな戦いが起って、世界はいくつもに切り裂かれてしまったんだ。
時が経って、世界は修復され、足りない所はお互いに保管しあうようにして、
繋がったりしたんだ。
いくつに引き裂かれたかは分からないけど、あなた達の世界を中心に一時5つの世界が繋がっていたんだ、でも2つの世界は繋がったり繋がらなかったり、不安定で・・・
今は3っつの世界が安定して繋がっているんだよ。
お爺さんたちの人間界、幻想郷、魔界。
そして、人間界と幻想郷は妖精の道で繋がっている。
人間界と魔界は表裏一体で、普段は行き来できないけど、魔法陣なんかで行き来できるようになる。
ここ幻想郷は一番小規模な世界でね、取り残された動物も少なく、私達妖精は神様のウロコから作られたんだ。
だから、人間界で寿命を迎え、幻想種に成れそうな者たちをスカウトして、こちらに呼び寄せてるって事なんだよ」
そんな途方も無い話を聞いても、今のわしには関係が無い事にしか思えず、
興味が沸かんのじゃった。




