47.グリフォン
わしじゃ、アルブレヒトじゃ。
わしらは、二本の大木に囲まれ襲撃されない場所で作戦会議をしておった。
鳥の王鷹の上半身を持ち、獣の王ライオンの下半身を持つ、グリフォンは強敵じゃ。
普通にやっては勝ち目がない、なにせ飛んでいる間はこっちの攻撃は届かず、向こうは好きなタイミングで襲ってくるのじゃ。
だからこそ、ここで倒しておかねば、いつ襲撃されるか解らぬのじゃ。
リーシャは、偵察から帰ってきて
「まだこの上を旋回している」
と言う。
まずはわしらの土俵、地面に釘付けにする事から考えよう。
流石は鳥の王たる鷲の上半身、小一時間ほど経ってもまだ旋回しとる、それともそんなに馬が憎いのか。
それぞれ準備して、わしとクレイで護衛しつつフィリスは進んでいく、森の切れ端まで来ると一旦止まる。
わしとクレイは、フィリスの左右に広がって、グリフォンを警戒しておった。
グリフォンは、わしとクレイからなるべく離れる方角から、フィリスに襲いかかった。
フィリスは木を背に立っておったので、来る方向は1方向しか無かった。
ローラは円筒状の花火をフィリスの前に投げ入れる、それは炸裂すると、まばゆい光と強烈な音と若干の煙を出したのじゃ。
ローラの投げた花火は、マジックで演出やトリックに使うもので、殺傷力は無かったがその分、光と音に特化しておるのじゃ。
グリフォンは目がくらみ、耳が聞こえなくなり、平衡感覚も狂ったが、地面に激突せぬように上昇しようとしておった。
そこに輪になったロープが飛んできて首に掛かる、もちろん反対側のロープの先は木に結んであるのじゃ。
このロープは、リーシャが登山で命を預けていたロープじゃ、グリフォンの力とて簡単に切れるものではない。
ロープがピンと張ると、グリフォンは地面に高速でビッターンと叩きつけられる、もちろん巨体のグリフォンが叩きつけられるのじゃから、土煙が上がり木片が舞い散るほどのビッターンじゃ。
わしとクレイは駆け寄り、挟み撃ちにして翼を攻撃する、グリフォンが背を向けている方が攻撃し、頭を向けている方は防御に徹する。
しばらく戦闘は続き、片方の翼はダラリと垂れ下がり、もはやグリフォンは飛ぶことは出来無くなったのじゃ。
じゃが、グリフォンは決してバカな獣ではない、幻獣と言われて相応しいだけの知能を、持っておった。
まず包囲されている状況を脱し無くてはならない、相対する二人の戦士を見て、若く逞しい戦士と、年老いている戦士ではどちらが弱いか、それを考えそれを実行に移す頭が奴にはあった。
対してわしらは、攻め手に欠いておった。
翼こそダメにしたものの、奴は地上でも強かった、たくましいライオンの足から来る動きの速さ、鋭い鉤爪を持つ前足は、それだけでも強敵だった。
奴の急所の位置は高く、深手を追わせれるほど強力な武器も無かったのじゃ。
そんな時、グリフォンはクレイの攻撃を無視し、わしだけを狙うようになってきておった。
わしは奴の爪を盾で受け流し、掴みかかるときは体ごと避けておったが、足が疲れて段々動きが鈍っていきおった。
避けるステップが足りず盾で受ける衝撃が大きくなってきて、遂には体制を崩してしまったのじゃ。
奴の取って置きだったのだろう、今まで見せなかった、嘴の攻撃でわしの右肩に噛みつく、メキメキと骨が軋み折れる音がすると、痛みでわしは立っても居られなくなったのじゃ。
わしは膝をついて痛みに耐えるが、右肩に感じる圧力はますます増して行く。
「ぐむうぅぅ」
その時じゃ。
「うわあぁぁぁー」
フィリスが吠えながらグリフォンに突っ込んで行く、手には枯れ木をランスの様に構えておった。
バキバキと木は砕けながら、グリフォンの体にめり込んでいく。
口から血を吐き、わしを離すグリフォン、しばらくはビクビクと動いておったが、もうその目にはもう輝きは無かった。




