44.幻想郷
わしじゃ、アルブレヒトじゃ。
エント村の宿で腰痛の療養をして5日目、フィリスが大怪我をしたと聞いて、わしは杖を突きながら、フィリスのおる部屋に来たのじゃ。
部屋にはいると、クレイとシシリーに看病され、フィリスがベットに寝かされておる。
意識は在るようで、半身を起こしクレイと話をしておった。
「流石は幻獣、半日もしないで起きるまでに回復するなんて凄いですね」
「いやー、照れるっす。
そういえば森に服を脱いだままで着たから、取ってきておいて欲しいんですけど」
「わかりました、じゃぁ僕が後で行ってきますから、あとで場所を教えて下さい。あっ師匠が来ましたね」
と、こっちに気がつくと立ち上がり、
「椅子をどうぞ」
「すまぬなクレイ」
わしは椅子を譲ってもらうと、フィリスのベット脇の椅子に座った。
「一体何事じゃ、相手はだれじゃ?」
と言うと、
「あー、実はデスネ」
と、怒られる子供の様に口ごもりながら話し始めた、山を偵察に行って、飛竜に追われ、妖精の道を見つけ、幻想郷へ行き・・・
そして、ユニコーンと戦い、角をへし折って、それを口に加えて帰ってきた事を。
「反撃を食らって太腿に大穴開けられちゃいましたけどねー」
と言いつつ、砕けて30cm程になったユニコーンの角を持ってわしに見せる。
「もしかしたら、これ煎じて飲めば、アル様の腰痛治っちゃいますかね?」
などと言うので、わしはフィリスの頭を撫でながら、
「ユニコーンの角は全ての毒の解毒剤になるのじゃ、そこから転じて万病に効くと広まっただけで、腰痛には効かぬぞ」
と、それを聞いたフィリスはあからさまにショックを受けつつ、
「イヤ、それナンパしてきたユニコーンがウザかったから、角へし折ってやっただけで、べつに・・」
と、撫でられて幸せそうな表情のまま、強がりを吐く。
「物好きなユニコーンじゃな」
と言う。
クレイとシシリーは、にこにこしながらこっちを見ておる、何か言いたそうじゃのぅ。
そして、フィリスが思いついたように、
「実はですね、妖精の道って世界各地の森にあったり無かったりなんですが、そこから幻想郷に入って、別な所から出たら山脈の向こうに出ないかなーと」
そのとき3人に電流が走る!
「それじゃ!」「それだっ!」「それです!」
その夜、パーティー全員で話し合い、幻想郷を抜けて、山脈の向こう側出口を探す事が決定した。
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二日後の朝、わしらは冒険の準備を済ませ村を出る、村人達は山に鎧を着て登るのかと不思議がっておったがのぅ。
あと、王都サハノウからわしらと共に歩んできた、大八車であったが、森に入っていくのは無理があるので、ここでお別れだ。
クレイの先導で湖まで行き、そこからはフィリスの先導で、わからなくなったら血の跡を探しつつ、妖精の道を探し森を歩いた。
「おっ、ここです」
と言うフィリス。
わしには何も変わって見えない、進んでいくと耳の後ろにゾワッとした違和感を感じた。
そして入った幻想郷は、普通に今までの森と変わらずであった。
「なんもかわらんなぁ」
と言うわしに、
「いや、そんな急にシダ植物だけとか、天地が逆とかそんな突飛な世界じゃないですよ」
とフィリス。
まぁしばらく歩いて話ができる妖精でも探すかのぅ、わしらは宛もなく進むのじゃった。




