40.手
わしじゃ、アルブレヒトじゃ。
わしらは暗殺者を捕らえ、一座が興行中借りておる倉庫へ帰ってきた。
ここは、マジックのタネを盗み見られないように、また大きな声を出しても苦情が来ぬように、民家とはちょっと離れておる。
暗殺者の舌の回りを良くするには、格好の場所なのじゃった。
奴とのやり取りは、遅々として中々話が進まず、退屈なので掻い摘んで説明すると、
40年前ローラさんは、ここから遠く離れた国、エイボン王国の第七王女として生まれる。
そして22歳になった頃、父王が亡くなると後継者争いが起こったのじゃ。
年齢が低く女性で王位継承順位も低く、別段問題無いと思われていおった。
しかし、継承争いが激しくなり、上位継承者で共倒れや暗殺などで、自然と継承権が上がってくると、身の回りに危険が及ぶようになった。
乳母が襲われた事を契機に、危険が表面化してくると、執事の知り合いであったこの一座の前座長に預けられ、国を脱出したそうだ。
それも18年も前の話。
だが、ここ5年ほど前にエイボン王国がファランシス国との戦争に負け、全土を占領併合され、王族の血も絶えた。
そして今、内乱が起こり元エイボン王国領の独立の気運が高まった。
そこで纏まりのない独立派を纏める旗頭として、ローラさんを据える計画があるらしいのだ。
独立派は、いく人もの人間を捜索に当て、ローラさんを探しているそうだ。
では、なぜ暗殺しようとしたか、それはこの男が独立派に送り込まれた、ファランシス国のスパイだったからだ。
王族であるなら、臣民のため戻ってきて、独立戦争のための象徴として働くのが、当たり前なのだそうじゃ。
わしは胸糞がわるくなって、暗殺者を殴りつけ昏倒させる。
「寝言は寝て言え」
男は厳重に簀巻にして、箱に入れ、更にグルグルロープを巻きつけると倉庫の目立たぬ場所に安置する。
万が一それから脱出出来たら、一流の手品師になれるじゃろうて。
わしらは教会に赴くと、奴が言っておった事をローラさんに告げた。
国に帰るべきか逃げるべきか、そもそも戦いなんて望んでも居ないのになぜ・・、このまま一座にいても団員に危険が及ぶかもしれないと。
ローラさんは迷っておった。
じゃから、わしは手を差し出し誘った、
「わしらと一緒に来ないか?」
とな。
--------------------------------------------
数日後、新しい座長と手品師一座は西に王都ウルを旅立っていった。
そして、ローラさんはわしらと一緒に、東に向かって王都ウルを旅だったのじゃ。
ついにマジシャンが仲間に入りました。
マジシャン(物理)ですけど。
ここまで読んで頂きありがとうございました。




