4.昼食会
わしじゃ、アルブレヒトじゃ。
わしはこう思っておった。
何処にあるか分からぬ村を探さねばならぬが、十中八九シューレス国内で活動することになる。
元々は、通過するだけのつもりであったし、10年以上前の話じゃから大丈夫と思っておったが・・・
実はわし、シューレス国では、お尋ね者なんじゃ。
じゃから、わしはこれより、魔術師に変装して行こうと思う。
なるべく剣も抜かず、雇った冒険者に任せる事で、地味に捜索をするつもりじゃ。
だから、わしらに声を掛けてきた、娘共々パーティーの3人を雇い入れたのじゃ。
あまり目立たぬように、酒場の隅にある、丸いテーブルを陣取って、早めの昼食兼自己紹介をしておる。
最初に声を掛けてきた小娘はリーシャ、シーフらしい。
髪は短めの赤毛、どことなく幼く見える、多分平坦な体つきから来る印象かもしれんの。
動きを邪魔しないよう、ソフトレザーアーマーを着こみ、腰にダガーを背中にショートボウを携えておる。
まぁ、シーフらしく他に2-3武器を隠し持っておるようじゃがの。
そして、戦士の若造クレイ。
こちらは、黒い髪で、男にしては長めの髪をしとる。
なかなかの色男じゃの。
いや、わしが男を褒ることなんて、めったに無いから、結構かもしれん。
冒険者らしく、軽装ながら、要所要所に金属のプレートで補強されたハードレザーアーマーを着こみ、小ぶりのバックラーと、腰にバスタードソード、腰の後ろにはダガーと言った装備じゃ。
最後にプリーストのシシリー。
青みがかった黒髪で若干長い、大層なベッピンじゃ。
おまけに、ゆったりとしたローブを着ていてもわかるくらい、グラマーじゃ。
おそらくは、ローブの下にソフトレザーを着込んでおるじゃろ。
また、刃の付いた武器を禁止されているプリーストらしく、ライトメイスを腰に下げておる。
わしに言わせれば、鎧を着ててもダメージ与えてくるメイスの方が、よっぽど凶悪な武器なんじゃが、神様は撲殺のほうがお好みらしいのぅ。
テーブルに料理が運ばれてくる。
いくつかの料理をテーブルに置き、ウエイトレスが去さったのを確認してから、わしは口を開いた。
「わしは、これより身分を隠して探しものをしたい、そのためお主らを雇い入れる報酬はさっき話した通りじゃ」
すると、リーシャが他の2人が口を挟はさむ間もなく
「なになに、どんな訳ありなの!」
とテーブルの向かいから体を伸ばしわしに迫る。
それを見て、クレイが、リーシャの顔をアイアンクローでムンズと掴み
「やめろリーシャ、お前は人見知りしなさすぎなんだよ」
と言うのじゃ。
更に手に力を込めながら、わしに向き直り
「仲間が失礼しました。しかし、お話できる事情だけでもお聞きできますか?」
礼儀正しく言う。
しかし、なにか態度がおかしい、体の関節はすべて90度でしか曲がらんのかと言うほど緊張しておるし、わしの顔を曇りなき眼でじっと見ておるし。
わしは尋ねる。
「もしかして、お主わしが誰かわかっておる?」
間髪入れずちょっと裏返った声でクレイ
「はい、存じあげております!」
声がでかいのじゃ、人は少ないけど酒場の皆さんこっち見ちゃったよ。
これ以上の話は、宿に帰り部屋ですることにしたのじゃ。
だいぶ人数増やしてしまいましたけど大丈夫でしょうか。
ここまでが本当のプロローグだったような気がします。
ここまで読んで頂きありがとうございます、まだ続きますのでよろしくお願いします。