36.アルバイト
わしじゃ、アルブレヒトじゃ。
数日の休養を経て、わしらはそろそろ港町アザレンを出発することにしたのじゃ。
気力体力申し分なし、まずは依頼されたレポートを届けるため工業都市リューナイへ向むかう予定じゃ。
また、魔法使いのメルド導師とその弟子セシルは工房のある、ローランドの街へ帰ることとなったのじゃった。
メルド導師が喘息と言うこともあり、お二人に馬車で帰って貰ったので、わしらは徒歩じゃ。
馬車で一日の行程も、徒歩じゃと1泊2日になってしまうのじゃ、一度馬車出来ておると、物凄い遠く感じたるのぅ。
今回は国境もすんなり通れ、モンスターにも出会わず、工業都市リューナイにたどり着いた。
リューナイの領主様と謁見して、「爆炎サイクロン式排煙軽減装置の運用テストとその可能性」とか言う、分厚いレポートをお渡しする。
あれ読む人は多分ゲンナリするじゃろうな、物凄い厚さあるからのぅ。
あの後の取り調べで、執事長ブナゥの指揮で魔力炉で多めに作った魔石炭を、ダンジョン側からこっそり運び出し、魔法剣を密造、販売して利益を上げておったらしいのじゃ。
販売は主に盗賊ギルドを通じて販売しており、そのつながりでアサシンを手元に置いていたらしいのぅ。
だから、魔法剣を打てる窯が、街から離れるのが不都合であったのじゃな。
今は魔法剣の製造は停止しており、魔法剣専用窯の候補地選定中なのじゃそうな。
だいぶん進展しておるようじゃの。
わしらは領主様の館を後に、外に出た頃には、日が傾きそろそろ暗くなろうとする時間じゃった。
本日の宿を決め、その宿屋の一階にある酒場で、夕飯を取りつつ飲んでおった。
クレイが言う、
「師匠、結局魔法使いは、仲間になりませんでしたね」
「そうじゃのぅ、しかし仕事をして稼ぐわけでもなく遠くへ行く旅じゃ、戻ってくるにも時間が掛かるからのぅ」
と言うと、シシリーが
「そういえば、目的地の場所って何処なんですか?」
と聞く
「賢者マルセルの言う事には、この大陸の東の果てから、海を渡った島国らしいのじゃが、地図によって距離も形も大きさもバラバラで、どれを信じていいが解らないそうじゃ」
「あらあら~」
緊張感の無い返事じゃ、
「もう少し近づいて、信頼性のある地図を買い求めねばならぬのぅ、路銀の事も考えるとギルドで、仕事を受けながら進んだほうが、良いかもしれぬ」
すると、フィリスは張り切って言う、
「じゃあ、明日ギルドで仕事受けて行きましょう」
そうこうしておると、
「んぁぁ~」
と、ミルドがアクビし出すので、今日はそろそろ解散して寝るとする事にしたのじゃ。
次の朝、冒険者ギルドに行くと、ここから徒歩3日分ほど東の、王都ウルまで荷を運ぶ仕事があった。
手持ちの大八車があるし、ここに戻ってこなくて良い仕事じゃったので、移動のついでに終わる丁度良い仕事じゃった。
ギルドで仕事を受注し、保証金を支払いギルド発行の受注書をもらう。
保証金はちゃんと届けたら次の街のギルドで帰ってくるのじゃ。
そして、わしらは依頼者の家に行き、荷物を受け取るのじゃ。
木製で一枚扉のチェストボックス、見た目はまんま宝箱と言った感じの、シッカリした作りの箱を3っつ預かったのじゃ。
預り証を発行して依頼者に渡し、荷物を積み込む。
壊れやすいので注意して運ぶようにと説明を受け、ロープで荷物をシッカリ固定して出発するのじゃった。




