34.奇襲
わしじゃ、アルブレヒトじゃ。
海賊共は士気も高く、接舷された今、漕ぎ手だった海賊も戦闘に参加して、わしらと海賊との戦力差は20対60、といった所まで広がっておった。
無数の矢を打ち込まれ、鉤爪で引っ掛けられ、わしらの船の右舷と、敵船の船首は幾本ものロープで固定されておる。
もはや海賊を屈服させねば、逃げることは叶わぬ状況になっておった。
もはや、この状況を覆す事が出来るのは、奇襲しか無いとわしは決断したのじゃった。
わしは、敵船の船尾に降り立つと、背を向けておる海賊どもを尽く切り伏せながら船首へと向かう。
どうやって?
そう、わしはペガサスになったフィリスと共に、空を飛んだのじゃ、少しだけじゃがのぅ。
フィリスの前足に捕まり、見つからぬように船の後ろを回わり込んで、海賊船の後ろに着地したのじゃ。
海賊共は、船に取り付くことばかり考えて、背を見せておったから、一溜まりもなかった。
フィリスは、ペガサスの姿のままガレー船の上で暴れ回り、前足で蹴りつけ海に海賊たちを叩き落としていく。
辛うじて避けたり、船に留まった海賊は、わしが切り伏せていったのじゃった。
40人ほど倒した所で海賊は降伏してきおった、懸命じゃな同数なら守備の有利が揺らぐことは少ないのじゃから。
海賊共の武装解除をさせ、拘束は船員達にまかせた後、わしとフィリスは甲板に戻ってきた。
「流石に今回は疲れたわい、しかし初めて空を飛んだが、恐ろしくも新鮮な体験であったわ」
返り血を浴びた顔を、布切れで拭いながらわしが言うと
「アル様はお歳ですからねぇ、肩でも揉んでさし上げましょうか?」
と、フィリス。
「今回は、お前が居なければ危なかった・・・」
と言いつつフィリスに目をやると・・・、肩もみのジェスチャーをしつつ、全裸のフィリスが立っておった。
「服を着ろ、服を!」
周りの船員達と、クレイが前屈みになっておるじゃろうがっ!!
そうなのじゃ、馬になる時邪魔になるからと、脱いでおったな。
こうして、武装を解除し縛り上げた海賊どもをガレー船に乗せ、船で曳航して港に帰るのじゃった。




