31.馬車
わしじゃ、アルブレヒトじゃ。
無抵抗なのにわし殺されそうなんじゃが、恐ろしい執事もいたもんじゃ。
もはや、この状況はわしの力で引っ繰り返すことは出来ぬ、運を天に任せるばかり、そんな事を考えておったのじゃ。
その時、扉のほうから
「まてまてー、武器を降ろして全員動くでない!」
と、入ってくる兵士。
その後ろから、ご領主様登場じゃ。
そして領主様の後ろからシシリー・リーシャ・セシル・ミルド・メルドが入ってくる。
領主は守備隊長を呼びつけ、コソコソと耳打ちする。
そして、
「ブナゥを捕らえよ」
と命じると、一斉に兵士が執事長ブナゥを取り囲み拘束した。
そう、わしらはアサシンをとらえた時、2つの班に別れたのじゃ。
わしとクレイとフィリスは、アサシンを一人連れて魔力炉のあるここへ、そしてシシリー達は、もう一人のアサシンを連れて森に隠れていた馬車へ。
馬車で領主の私邸の前に待機し、執事長ブナゥが屋敷を離れたあと、賢者マルセルの書いた紹介状を持ってこの街の領主様に面会したのじゃ。
あとは魔術師メルド導師の説得によってご領主様の心を動かした、と言うわけじゃ。
全くもって、余裕が無い作戦になってしもうた。
もっと会話で持たせるつもりだったんじゃが、アサシンの侵入を許したのが痛恨のミスじゃったのぅ。
わしらは、証拠の眠らせていたアサシンを引き渡し、魔力炉の部屋を後にするのじゃった。
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あれから、ご領主様の屋敷に案内され、またも贅沢三昧してしもうた。
貧乏旅に戻るのが嫌になるのぅ。
そうそう、メルドとセシルは既に元の体に戻っておった、説得には老婆の姿のほうが適切じゃからのぅ。
少し危なかったが、これで全員無事に港町アザレンに向け出発することが出来る。
これで、客室定員8名の馬車を用意してもらった甲斐がある、というものじゃ。




