29.因子
わしじゃ、アルブレヒトじゃ。
わしらはアサシンを縛り上げ、転がしておくのじゃった。
今はそれより、魔法使いのメルドの方じゃ!
魔力炉の破壊阻止と言う、最低限の目標は達成した、しかしセシルへ体を返してもらわにゃならん。
しかし、メルドはどうしてもここでやっておきたい事がある、と引かないのじゃ。
返す、返さないでは話は平行線なので、条件を聞いてみる事にした。
研究者の話は長いから要約すると、実は魔力炉は金属を溶かし魔法剣を作る炉ではなく、燃料の魔石炭を石炭から作る為のものであり、ここでは不治喘息(治らない喘息)の原因はなる因子は出来ぬ。
原因は、魔石炭を窯で使い、魔法剣を作る時に出る煙に因子が含まれており、煙に乗って付近の街に広がっておるのじゃ。
つまりは、魔法剣を作る鍛冶場だけを、もっと人里から離れた場所に作る様に要請しておったのじゃった。
しかし、要請は無視されアサシンが送り込まれた事で焦ったメルドは、魔力炉を人質に要求を通したかった。
と、言うことらしいのじゃ。
んー、それで解決するのに、なぜ無視してアサシンまで送り込んで来たのじゃろうなぁ?
わしは、
「それ領主までちゃんと手紙届いたのかいのぅ?
もしかして、途中で誰かに・・・」
と言いつつ思いつく。
そういえばここにアサシンが転がっておるな。
尋問してみるかのぅ。
クレイとシシリーとフィリスの先導で、ミルドとセシルは楽しい迷宮お散歩ツアーに出かけていった。
教育的に良くないからのぅ。
その間に、色々となんやかんやあって、アサシンは自供したのじゃ。
"なんやかんや"の部分を詮索はしちゃいかんぞぃ。
リーシャは観念したアサシンに手短に聞く
「誰の依頼」
「執事長のブナゥ様です」
「領主には伝わってない? 全く?」
「おそらく」
「魔力炉までの道案内宜しく」
「・・・はい」
しばらくして、お散歩組が逃げていたもう一人のアサシンも捕まえてきた。
転がされていたアサシンは、逃げる機会を失ったことを悟ってガックリと肩を落としておった。
折角自供してまで生き延びたのに、不憫じゃな。
結局、縛られたアサシンを先導にして、わしらは魔力炉まで行くことになったのじゃ。
アサシンは先頭歩かせていると、罠とかある場所を教えてくれるから便利じゃ。
魔力炉の近くまで来たら、しっかり殴って昏倒させておく。
ん?、酷くは無いぞ、命あるだけありがたいと思ってもらわぬとな。




