28.ダンジョン
わしじゃ、アルブレヒトじゃ。
工業都市リューナイの近くで馬車を止め、冒険者の格好に着替え徒歩で街に入る、フォーマルな格好のままでは、武器を持ち歩くと目立つでな。
まずは、魔力炉とやらの場所を探すことにする。
魔法使いのメルドはそこに現れるじゃろうし、早く見つけて監視しておきたい。
わかっているのは12歳程度の外観に、おそらくは魔法を使うための杖を隠し持ち、さらには直径10cmほどの水晶球も隠し持っているだろうということじゃ。
水晶球はともかく、杖は隠しにくいので大きな特徴になる。
まずは魔力炉を探すのじゃが、これはそんな物があると知っておれば、比較的簡単に見つかったのじゃった。
なにせ地面から、直接大きな煙突が生えておる、魔力炉はあの場所の地下にあるじゃろう。
しかし、入り口の警備が厳重じゃ。
思い出す、思い出す・・たしか、古代文明のオーパーツつまりは、発掘された遺跡かなにかじゃな。
ここはギルドで情報収集じゃ、そして目的のモノは見つかった、と言うかこの街では割と有名な話じゃった。
元々ここは、埋もれた古代遺跡のダンジョンだった。
そしてこの街はダンジョンの上に作られていて、地下にはまだダンジョンが残ったままになっていると。
おそらくは、見つけた魔力炉が何らかの理由で移動させる事ができず、そのまま街を上に作ったのじゃろう。
わしらは、騒ぎにならぬよう地下から入ることにした、一度街の外にでて地下水路を逆上り、マッピングをしながらの地道な捜索じゃ。
既に枯れたダンジョンらしく、巨大ラットや巨大コウモリ以外はおらず、順調に捜索は進んでおった。
わしは、
「なかなか着かぬのぅ」
とぼやく。
「そうですね、手持ちのランタンの燃料が後半分ほどです」
とクレイ。
その時、遠い通路の影から明かりが広がるのが見える、即座にランタンのシャッターを締め、タイマツは踏み消したのじゃ。
走って近寄ってくる明かりはライトの魔法のようだ、隠れているわしらの方に走ってくる人影、小さい!、杖を持った子供、魔法使いメルドか、ランタンのシャッターを開け、立ち上がって行く手を阻む。
追ってきているのは2人のアサシンじゃった、わしとクレイはそのまま前進しメルドの脇を抜け、アサシン達とメルドの間に入る。
セシルは、
「お師匠!」
と叫び、メルド手招きして呼び寄せている。
リーシャが火を付けたタイマツをわしに渡す。
わしは左手でそれを受け取り、刀を右手で構えると、アサシンとの間合いを詰めていったのじゃ。
アサシン達は距離を取り、投擲武器で攻撃してくる。
おそらくは毒が塗られているであろうそれは、後ろに逸らす訳にも行かず一々叩き落とさねばならなかったのじゃ。
間合いは詰まらず一方的に攻撃されておる、しかし投擲武器が無くなったか、そのままくるりと踵を返して逃げようとしておる。
わしとクレイの間から、リーシャが飛び出し投擲武器を投げた、それは飛んで行くとアサシンの足に絡み動きを封じたのじゃ。
「ボーラかよく持っておったのぅ」(ボーラは2-3個の重りをロープで繋いだ投擲武器、狩猟などで使う)
「前回の事があって用意してた」
リーシャはニコっと笑いつつ、片手でガッツポーズしておった。




