25.メルドの工房
わしじゃ、アルブレヒトじゃ。
魔法使いメルドの目的はわからんが、触媒の水晶球を手に入れ、更に出来ればメルド自身の身柄確保のため、来た道を逆戻りしてローランドへ向かうのじゃ。
ただ、今回は賢者マルセルの馬車を借りて一気に移動じゃ。
馬を4頭立てで行者2人に、客室8人乗りの馬車じゃ。
4輪独立サスペンションのリムジン仕様、快適すぎてもう徒歩には戻れんわい。
「しかし、馬が馬車に乗るとはシュールじゃの」
「アル様、酷くないですかぁ。私だけ後ろを走って付いて来いとおっしゃいますかぁ」
フィリスは、ぷくっとふくれっ面をしとる。
最近、こやつをからかうのが日課になりつつある、わしなのじゃった。
ローランドまでは半日ほどで付いた、さっそく魔法使いメルドの工房に向かう事にする。
工房の場所は知っておったので、すぐに到着したが魔法使いメルドは居なかった、乱雑に荒らされた室内は、物取りでも入った後と見受けられる。
わしらは手分けして捜索する事にした、まもなく隠れ階段が見つかる。
階段を下ると、窓もない小さな部屋で儀式に使われた部屋じゃった。
この部屋は荒らされては居なかったが、触媒の水晶球は持ち去られた後であった。
水晶球も無く本人も捕まらず、メルド導師の目的も解らずでは対応しようがないので、わしらはとりあえず、沢山散らばった資料や本を、手がかりになるかも?と馬車に積み込み、これを賢者マルセルに見てもらう事にしたのじゃ。
とりあえず証拠物件の押収を済ませたので、馬車に乗り港町アザレンに向かおうと思っておったのじゃ。
しかしどうも、わしらを監視しておる奴がおる。
クレイとリーシャに耳打ちして、捕らえて情報を得るとこにしたのじゃ。
こんな時、シーフはその身軽さや気配を消す技術から適任じゃ。
リーシャに逃走経路に先回りしてもらい、クレイとわしで追い詰めるのじゃ。
配置に付いて3人で追い詰めるように囲いを狭くして行く、しかし相手はただでは捕まらんと逆襲に出る。
しかも敵も仲間が居たようで、リーシャが逆包囲される形となり、残念ながら逃げられてしまった。
クレイとわしは駆けつけ、
「リーシャ、大丈夫か?」
「すまぬ、リーシャ無理をさせてしもうた」
と言う。
敵に囲まれ、一番危険な目に会ってしまったリーシャじゃったが、無事で何よりでじゃった。
リーシャは地面に落ちた暗器を拾い上げ、
「物取りじゃない、あれらはアサシン」
と言ったのじゃ。




