24.解析
わしじゃ、アルブレヒトじゃ。
わしら一行が案内された客室は、今まで泊まってきた宿屋一軒分位の広さが有り、部屋も4っつ、トイレも2つ、風呂まで付いたそれはそれは豪華な部屋じゃった。
絵画が飾られ彫刻がおかれ、広い庭の見渡せるバルコニーもある。
置いてある机や椅子も、きっと名のある職人の作であろう。
皆一様に落ち着きがなく、オロオロとしておる。
クレイなど、案内してきたメイドの去り際のお辞儀に、ペコペコとより深いお辞儀を返しておる。
まぁ、軍団長をしておったわしは、こんなことは慣れておるから落ち着いておるがの、
「アル様ー、アル様が今座ってるそれ、椅子じゃなくサイドテーブルっすよ、ミシミシ言ってますもん」
「のはっ!」
わしは慌てて立ち上がった。
そして、夕食も豪華であった。正直ここまで豪華な食事だと一回で食べるのが勿体無い。何回かに分けて食いたいものじゃ。
もちろん皆夕飯のときも、ソワソワオロオロしておったので、皆はまともに話など出来なかったのじゃ。
わしは賢者マルセルに
「ジパングと言う国に行きたいのだが、船は出ておるかのぅ」
と訪ねてみた。
「ジパングはハッキリとした位置が分かっておりませんが、船で行けば行けるのでしょう・・しかし、今はちょっと無理があります。」
と言うので
「なにか不都合が?」
と聞くと
「実は、湾から外洋に出る岬に古代龍がおり、卵を産んだため過敏になり一時的にテリトリーを広げ、その結果全ての船が外洋に出ることが出来ません。
湾自体が大きいので近海漁業は出来ますが、海運業と遠洋漁業は打撃を受けておりまして」
「なんと、間が悪いのぅ」
「卵が孵っても、親離れまでは数年掛かる見通しでして、テリトリーの向こう側までは陸路で行かれるのが良いでしょう」
わしの船で一気にジパングへ、とゆう目論見は脆くも崩れ去ってしまったのじゃ。
そして、夕飯の後わしらは賢者マルセルの工房へ案内されておった。
賢者マルセルは、
「まずは覚えている限り、正確に儀式の様子をお話してください」
と老婆セシルに言ったのじゃった。
セシルは暫らく考えて、思い出した事を語りだした。
「窓もない狭い部屋に床一杯の魔法陣、むせ返るほどのキツイ匂いの香が炊かれ、真ん中には小さなテーブルと水晶球、それを挟んで師匠と向かい合い・・その、それしか思い出せ無いです、ごめんなさい」
「はい、解りました。では入れ替わった後、何か体以外で変化が有りましたか?」
「はい、今まで使えなかった魔法が魔法が使えるようになりました。」
「ほう、それは珍しい事例ですね」
そして、暫らく魔術をセシルに掛けたり手を握って反応を見たりしていたが、
「ふむ、解りました、説明いたしましょう。
まず、記憶には意味記憶とエピソード記憶という物があり、私の研究では意味記憶は肉体の脳に付随し、魔法の知識もこれに当たります、そしてエピソード記憶は人としての意識と密接に関係しこれは魂に付随します、お二人の肉体は入れ替わったのではなく感覚を共有する事で一体化して、意図的にその意識の比重をずらし・・・・」
わしらはちんぷんかんぷんじゃったので、
「長い!3行で!!」
すると
「二人が見てる前で、
触媒の水晶球を壊せば、
元にもどる」
さすが賢者マルセル、分かりやすい答えじゃ。




