23.賢者
わしじゃ、アルブレヒトじゃ。
ローランドには特に用も無かったでな、次の日の朝にはここを発って、シューレス国唯一の港町、アザレンへと向かう。
ここからは進路は東じゃ、やっと進んだだけ目的地に近くなるぞい。
うまくすれば、アザレンでジパングへの船便が見つかるかもしれぬ。
期待に胸を膨らませ、足取りも軽く・・・とは行かず。
わしは旅にも慣れてきておったが、セシル婆様が歩くの遅くてちぃーとも進まん。
これは、
「クレイ出番じゃぞぃ」
と、またも大八車の出番じゃ。
荷物積んだり色々便利で、結局ここまで持って来ておったのが役に立ったのじゃ。
それからは特に何事も無く、港町アザレンに付いた。
途中からは、大八車はフィリスが引いとったんじゃが、片手でスイスイ引いておった。
流石馬、馬力が違うのぅ。
港町アザレンと言うが、シューレス国にとって唯一の港町であり、海運・軍事・漁業の最重要拠点であるのじゃ。
当然城塞都市でもあり、とても大きな街じゃ。
わしは、街に着くと宿には行かず、この街で最も大きな屋敷に向かったのじゃ。
この街の領主であり、賢者でもあるマルセルを訪ねてじゃ。
メイドに要件を伝え、待合室で待っておると、上品な身なりの老紳士、賢者マルセルが迎えてくれた。
見た目からは魔法使いと言うより、執事か城勤めの文官のようであったが、確かに腕のある魔法使いじゃ。
「久しいなプルケル殿、王都での出来事はもうここでも伝え聞いておりますぞ、今はアルブレヒト殿かの」
嬉しそうに手を広げハグして来る。
「もう十年以上お会いしておりませんでしたが、ご健勝で何よりですじゃ、賢者マルセル」
わしもこの老紳士に会えて、本当に嬉しかった。
わしは続けて、
「本日伺いましたるは、少しお知恵を拝借出来ればと」
「なんなりと、私に解ることでしたらお答えしましょう」
この老紳士に解らぬ事は、他でどうあがいても解らん気もするがのぅ。
場所を応接室に移し、わしはパーティーの仲間を順番に紹介する。
そして、最後にセシル婆さんを紹介すると、
「そちらの女性は、メルド導師ではないのですか?」
と賢者マルセルは尋ねた。
「ほほぅ、お知り合いでしたか。実は彼女の事が今回こちらを訪ねた理由ですじゃ。してメルド導師とはどのような方ですかのぅ」
というわしの問に、
「ローランドの街で活動する魔道士で、医学特に喘息の治療の研究をされている導師です。私も資金援助を何度かしており、その時に会っておりますから間違い有りません。が、しかし・・」
そう違和感を感じている様子なので、わしは、
「実は彼女はその弟子に志願したものの、精神と体を入れ替えられたらしいのじゃ。それでその解決方法をじゃな」
するとマルセルはパァと顔を輝かせ、
「それは行幸、騎士であった貴方には話したことは無かったはずですが。
実は私、研究は記憶と精神を専門に研究しております。
おそらく、私以上にお役に立てるものはおりますまい。」
と、言ってくれた。
頼もしい事よ!
「今日はつもる話も有りますので、我が館にお泊りになって下さい。
私は暫らく仕事を片付けて参りますので、夕飯でまたお会いしましょう。」
パンパンと手を叩き、メイドを呼びわしらを案内させるのであった。
今回ちょっと手こずりました、話が地味!
じじいの会話に終始するっていう。
次回から本気出します。




