18.決着
若干の過激な表現があります、ご注意ください。
スカエウォラは勝ちを確信した。
プルケルの奴は、壁際で横に倒れて、口から血の泡を吹いている。
思えば10年前に取る予定であった、剣聖の称号を手に入れるため、いろんな工作をした。
獣人の娘を商人が売りに来た時、それは始まった。
獣人の娘を、亡命しやがったプルケルに送りつける。
商人からは、娘を攫った位置を吐かせ、近辺を捜索して獣人の村を探しだす。
プルケルは娘を戻しにこの国に戻ってくるだろうし、獣人の村から人質を攫ってくれば、奴も手出しできずに殺せるだろう。
計算外だったのは、送りつけた娘が逃げたこと。
獣人の村の抵抗が大きく、全滅させるまで抵抗された事だ。
だが偶然すら味方につけ、結果として私は勝った!
プルケルの奴め、留めとして首を断ってやろう。
そう思って、剣を拾おうとしたが見当たらない。
それに目の前が暗くなってきた、おお暗い、真っ暗だ何も見えない。
スカエウォラは、崩れるように後ろにドウッと倒れて息絶えた。
わしじゃ、アルブレヒトじゃ。
わしは、何とか浅い呼吸をしながら体を起こした。
口の周りは血がべっとりで、不快じゃ。
わしは奴がタックルしてきた時、刀を手放しカイトシールドの裏に備えてある鎧通しで、奴の肩にある鎧の隙間を突き通したのじゃ。
それは、肩から入り肋骨の間を抜け、心臓にまで達し、奴の息の根を止める一撃となったのじゃった。
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10年前、当時の宰相は、獣人が国の要職に付くことに危機感を感じておった。
また活躍華々しい武官共が幅を利かせ、相対的に文官の地位が下がっていることにも、不満をもっておった。
そこをスカエウォラにほだされて、仲間に引き入れられた。
ガンドの副官であったスカエウォラは、ガンドの手紙を偽装して部隊の主だったものをガンドの私邸に集めた。
一方で、当時の宰相は国王の書簡を偽造して、わしに送ってきたのじゃ。
そこで、わしらとガンド達との押し問答に発展したのじゃ。
スカエウォラは、対応を話し合うためとガントを騙し、一室に呼び隙を見て殺害、自害したことにして、クーデターが計画されていたかのように偽装した。
宰相は文官を纏め、セシリアンウルフの排除を王に進言、更にはそうなるように強く働きかけた。
おそらく宰相達は、ここまでの計画のつもりだったのじゃろう。
ここからは、スカエウォラの独断が始まる。
わしが副官と部下のセシリアンウルフを捕らえず逃がしたのをチャンスと見るや、わしを捕らえ全ての責任を押し付け、剣聖の称号を譲るように脅した。
乗ってこなければ一騎打ちしても良い、と考えておったが、拷問しすぎでわしが立てなくなり一騎打ちできなくなると、人質の線を当たることにする。
わしには妻も子供もおらんかったから、副官のアルドを捕らえようとしたが、逆にわしを奪われ計画は水泡に帰した。
これが十年前の事件の顛末ですじゃ。
わしは現在の宰相閣下に報告し、一礼したのじゃった。




