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17.決闘

若干の過激な表現があります、ご注意ください。

わしじゃ、アルブレヒトじゃ。

まだ日も昇らぬ暗い内に、わしはある場所で、人を待っておった。

それは、繰り抜いた岩山の上にそびえ建つ王城へと続く、長く急な階段が折り返す、10メートル四方の踊り場じゃった。


奴は、二人の騎士を連れて階段を登ってきた。

奴とは、軍団長スカエウォラのことじゃ。


わしは、スカエウォラに手紙で決闘を申し込んだのじゃ。

わしは、スカエウォラが喉から手が出るほど欲しいもの、を持っておった。

それは剣聖の称号。

剣聖の称号は、剣聖に認められて譲られるか、剣聖を持つものに一騎打ちで勝ち殺して奪い取るしか、得る方法がないのじゃ。

それを餌に、本人を呼び出したと言うわけじゃ。

この場所を選んだのは馬で来られると困るからじゃ、騎兵と歩兵では勝ち目がない、しかしわしには軍馬がおらぬからのぅ。


しかし、スカエウォラには決闘に向け隠し玉があったのじゃ。

二人の立会人を務めるはずの騎士は、それぞれにシシリーとミルドを連れておった。

縄で縛られ、猿ぐつわを噛まされ、二人は騎士に小突かれながら階段を登ってきたのじゃ。


日が昇り始め、急に当たりが明るくなり始める。

二人の顔が、朝日に照らされ見える。

二人とも涙を流し、申し訳無さそうに俯いておった。


何という事、迂闊な自分に腹が立ち、卑怯者に味方する運命を呪うばかりじゃった。

その時じゃ、足音もなく階段を登ってきたリーシャが、麻袋をシシリーを人質にとる騎士の頭からすっぽりかぶせて、袋の口を縮めた。

突然視界の奪われた騎士が、驚きの声を上げた。

それを合図に、上りの階段の手摺に隠れていたクレイが踊り出て、人質に取っていた騎士からミルドを奪い返し、階段から叩き落とした。

長く急な階段を、騎士は叫びながら転がり落ちていく。

その声に恐ろしくなったもう一人の騎士が、取れない麻袋に業を煮やし、兜ごと脱いだ。

その騎士は髪を掴まれ、首筋にダガーを押し当てられ、リーシャに、

「姉貴に怪我でもあったら殺すよ」

と囁やかれ、身動きできなくなってしまった。


やれやれ、どうもいつものリーシャは、韜晦しておったらしい、それともキレた時だけああなのかのぅ。


わしは、ここに来るに応って、出来る限りの武装をしておった。

刀を抜きカイトシールドを構えると、奴の正面に立った、

「立会人が生きておる間に始めようじゃないか、のぅスカエウォラ」

奴の表情は、兜の下で窺い知れない。

しかし奴もまた、スーツアーマーにタワーシールド、武器にはブロードソードを持ち、話し合いだけでは、称号を奪えない事を覚悟して来ておった。

奴は、立会の騎士に一瞥もくれず、剣を抜き盾を構え近寄ってきた。

儀礼に乗っ取り、踊り場の真ん中当たりでお互いの剣が軽く触れる。


すぐには剣を繰り出さず牽制しあう。

お互い剣の届きにくい、左に回り込もうとジリジリと回り続ける。

壁に追い詰めようとフェイントを掛け、間合いで押し引きして優位な位置を取ろうと静かに戦っている。

装備の軽さからわしの方が少しだけ早く動け、スカエウォラは防御の硬さから圧力で勝った。

わしは、徐々に壁に追いやられて行った。

頃合いと思うたか、スカエウォラが攻めに出る。

フェイントとシールドバッシュでわしの動きを止め、右手のブロードソードでわしの左側から斬撃を放つ。

わしは奴の斬撃をカイトシールドで受け止め、一瞬止まったその右手を狙って一撃を放った。

元よりそのつもりで、わざと誘って放った一撃であり、鎧の薄い部分を突破するだけの、威力は十分乗っておった。

奴の右手親指は、鎧ごと絶たれ、地面に落ちた。

剣を落とし、痛みに膝をつくスカエウォラ。


しかし、奴にも秘策があった。

盾をかなぐり捨てると、片膝付いた状態から猛然とタックルを仕掛けてきおった!

わしは腰を掴まれ、そのまま壁まで押し込まれ叩きつけられた。

胸に奴のヘルムが食い込む、肺の中の空気が強制的に吐き出され「グヒュ」っと喉が音をたてた。

目の前が真っ赤になり、息苦しく空気を吸い込もうにも、喉から血が湧き上がって空気が吸えぬ。

わしは壁に背を擦りながら、ズルズルと倒れた。

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