13.下男
わし・・じゃ。
わしは教会の壁を背に、まだ動くことも出来ずに居た。
リーシャとシシリー、それにミルドも駆けつけ睨み合いとなった。
そこへ騒ぎを聞きつけたシスターが、神父を連れてきたのじゃ。
「いけません!セグルドさん!」
しかし、セグルドと呼ばれた男は血走った目をわしに向け、殺気を放ったまま斧を構えなおすのじゃった。
クレイは、教会の人間に危害を与える事に躊躇いがあり、手を出せずにいたようじゃ。
それはリーシャも同じで、ショートボウを構えながらも、射ることは出来ずに居たのじゃ。
わしはシシリーに回復魔法を掛けてもらい立ち上がる。
そんな中、ミルドが
「お爺ちゃんに何するんだ!」
と言い放つと、杖を突き出し奴を牽制したのじゃ。
魔術師の格好をしとるから、魔法を使う脅しになると考えてじゃろう。
わしはこの男が、復讐者であり、わしだけが目的であることを察しておった。
ミルドに危険な真似をさせたくは無かったので、ミルドの脇を抜け前に出ようとした。
しかし、ミルドはわしの前に回り込み奴との間に立とうとしていた。
「ミルドや、わしはあの男と話をするだけじゃ」
「いやだっ」
押し問答しているうちに、ミルドの帽子が落ちて、頭の上の耳が露出してしまう。
それを見たセグルドは、動揺し集中を撹した。
クレイは、そのスキを見逃さなかった。
盾を捨て、空いた左手で相手の斧を抑えると、剣の柄でセグルドを殴りつけ昏倒させた。
「ここでは騒がしくて、話も出来ませんね、中へご案内します」
と神父に案内されて、わしらは教会の中の一室に通されたのじゃ。
しばらく待たされたあと、神父と下男が部屋に入ってきた。
下男の名前はセグルド、昔クーデターに失敗して自害した、第二軍軍団長ガンドの元部下であった。
セグルドはセシリアンウルフであり、むかし粛清の対象として追われる所を、教会に保護されたそうじゃ。
それから己で尻尾を切り落とし髪を染め、身分を隠し教会の下男として働き、恩を返そうとしていたそうじゃ。
セグルドにあの時わしは、何を見て、何をしたか、を切々と語って聞かせた。
10年前ガントの私邸に、手紙で呼ばれたセグルドは、拘束に来たわしを敵と思っておったそうじゃ。
じゃが、わしをもはめた黒幕が居る事を知って、唇を噛み締めておったのじゃ。
明るい話を、書きたいのに段々とだんだんと暗い展開になっていくぅ。
お話を書くとはままならないものですね。
ここまで読んで頂きありがとうございます、まだ続きますのでよろしくお願いします。




