12.王都
わしじゃ、アルブレヒトじゃ。
この街と王都は交通量も多く、比較的近いこともあって、適期的に出る乗合馬車がある。
今回は、それで移動する事にしたのじゃ。
早朝にでた馬車は、順調に南下し特に問題もなく、夕刻には王都に到着した。
もう日も落ちそうな頃合いであったし、ギルドも教会は明日にして、宿を取り休むことにした。
クレイは、酒場で情報集めじゃがの。
翌朝、またギルドに行き依頼書漁り。
しかし流石は王都の冒険者ギルド、依頼書が多すぎて何時までたっても終わらぬ。
「これは、何時終わるんでしょうね」
と、半笑いのクレイ。
「でもミルドちゃんの為なのよ、頑張りましょうね」
笑顔でミルドに手を振りながら、シシリーは言う
リーシャとミルドは、長椅子で果実の汁を飲みながら、手を振って遊んでおった。
冒険者の格好をしておらねば、仲の良い少し歳の離れた姉妹の様にも見える。
朝からたっぷり昼過ぎまで、作業を進めておったが・・・
疲れ目と肩こりから頭痛までしてきて、それでも目尻を抑えてまた依頼書を読み解く。
でも、今日はもう限界じゃ。
シシリーとクレイも同じような状態であったし、うっかり見逃しては元も子もない。
続きは明日にして、教会を訪れる事にした。
わしらは教会へと赴く。
何でもクレイ・シシリー・リーシャの三人は、この教会の孤児院に居たことがあるそうじゃ。
そこで知り合ったのだと、道中聞いたりしておった。
王都の教会は街中にあるため、孤児院は少し街の中心から、離れた場所にあるのだそうな。
教会では炊出しをしており、シスターやボランティアや貧窮者で賑わっておった。少し裏手では、下男が炊き出し用の薪を割ったりしておる。
わしはフードを目深に被り、顔をなるべく隠して教会に入った。
ここでの聞き込みは、三人に任せるとするのじゃ。
年月が経ったとはいえ、ここの神父とは何度か顔を会わせておるしの。
教会の隅で、お祈りでもして三人を待つとしよう。
少し経って3人が戻ってきたが、収穫は無かったようじゃ。
その後3人で、わいのわいの言っておったが、折角なのでと孤児院の方にも聞き込みに行ってみることになった。
きっと3人共、懐かしい孤児院に、顔を出したいだけなんじゃろうな。
教会をでて、裏手を通って行こうとした時、それは起ったのじゃ。
薪を割っておった下男と、目が合った次の瞬間
「プゥルーケルー!」
持っていた斧で、わしに襲いかかってきた。
わしは、持っていた変装用の杖でその一撃を辛うじて受け止めたが、杖は砕け散り、わしも、吹き飛ばされ教会の壁に背を打ち付けられた。
この 異変にいち早く気がついたクレイは、盾を構え剣を抜き、わしと下男の間に割って入った。
わしは背を強かに打ち、むせ返りながらも顔をあげる。
薪割りに使っておった、斧を両手で持ち低くかまえて、今にも襲ってきそうな下男がそこにはおった。
被っていた帽子はどこかへ吹き飛び、彼の頭には獣の耳が見えたのじゃった。




