10.厩舎にて
わしじゃ、アルブレヒトじゃ。
酒場から帰ってくると、わしの愛馬シュバルツ三世が繋がれとる厩舎に、異変があり急ぎ駆けつけると、妖精がおったのじゃ。
わしは、素早く妖精の足を掴んで捕まえると、
「わしのシュバルツにいたずらすると、ただでは置かんぞ!」
すると掴まれた足を外そうともがきながらも、
「違う違う!話を聞いて!」
意外なことに、会話できるようじゃった。
わしは、素直に感心しつつも、
「ほう、会話できるとは利口な妖精じゃ。しかしいたずらの容疑が晴れたわけではないぞ」
と言う。
「私は、このお馬さんに話が在ってきたの、お爺さんの馬なら説得に協力してよ」
「ほう説得とな、じゃがその前に事情を説明して貰えるかの?」
妖精は語りだした。
馬の寿命は25から30年。
この馬は20歳と高齢で、なおかつ豊富な経験をしてきており、幻想種の馬に進化転生ができるらしい。
また、軍馬としての怪我や無理が祟って、残りの命はそう長くはないそうじゃ。
この妖精は、そのためにスカウトに来たと言うわけじゃ。
思えば、シュバルツとの付き合いは、わしがシューレス国におるときからじゃから長いもんじゃ。
わしにとって、大切なシュバルツが、幻想種となり高みに登るのであれば、別れを惜しむより喜んで祝ってやりたい。
そんな気持ちになるのじゃ。
わしは、説得するのもやぶさかではないと思ったのじゃが、ふと疑問を口にした。
「しかし妖精よ、説得と言っても馬の言葉がわかるのか?」
「私の仕事はスカウトして来ることよ、ほとんどの生き物と意思疎通できるのが私の特技なの!」
「そうかではシュバルツはなぜ嫌がっておるのじゃ?わしとの別れか?」
「うん、それもあるけど、折角またあなたと旅に出れて嬉しいみたい。
旅が終わるまでは転生したくないらしいの。
でも命の火は、明日消えるか来週か、持っても半年がせいぜいなの」
「そうか、ではわしの言葉を伝えて貰えるか?」
「了解!任せて」
わしは、愛馬シュバルツ三世の頭を抱き、首を軽く叩きながら語りかけた。
「わしもおまえと別れるのは寂しい、お前にはこれまで沢山助けられてきた・・・
苦しい戦いもシューレス国からの脱出も・・・
もはや軍馬として以上に、わしの中でお前は大切な者じゃ。」
「だからこそ、また転生して会おうぞ。わしにはお前が必要じゃ」
と、言っている後ろで、妖精が通訳しておった
「ブルルヒヒンヒンブルヒンヒンブルブルブルヒンヒーンブルブル・・・・」
なんか、雰囲気とか台無しじゃの・・・
説得に応じたシュバルツは、妖精とともに去っていった、去りぎわに何度も振り返るので、わしもずっと見送っておった。
わしは酔も冷め、少し寒くなって、いそいそと宿に入って行った。
部屋に戻って、ミルドとリーシャとシシリーが居るのを見て気がついた。
道端に、クレイを置いて来たままてあった!




