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優愛記

作者: hapy

「優騎!」朝7時、麻河優騎(あさかわ ゆうき)の家の前で元気な声がした。

「愛貴、おはよう。」そう言われて、にこっと笑う柚木愛貴(ゆずき あき)の姿が優騎の目の前にあった。

二人は、小学校1年生のときから、現在中学校2年まで、ずっと同じクラスで、家も隣同士という究極の幼馴染だ。

そうしてこう毎日、一緒に部活の朝練へと並んで歩いてるのだ。

「優騎、サッカーがんばりなよ!」

「そう言うお前こそ、チアリーディング、ちゃんとやれよ!」

優騎は、サッカー部のエースで部長、愛貴も、チアリーディング部の部長なのだ。

どちらの部も、3年生が引退し、2年生の、リーダー的存在だった、優騎と愛貴が、部長に就任したのだ。

7時15分、学校に到着。と同時に・・・

「おっはよー!!愛貴、あ、優騎君もおはよ!」

「あ、恵魅おはよう。」

2人の前に現れたのは、山野恵魅、チアリーディング部の副部長で、愛貴の親友だ。

愛貴と恵魅は優騎と別れて、部室に向かった。

優騎達の通う晴鈴学院中等科の、各部には、それぞれ、ひとつづつちゃんとした設備の整った部室が与えられているため、部活動での成績が、とても優秀だ。 中でも、優騎と愛貴のサッカー部とチアリーディング部は、多くの実績を残しており、学校からの信頼も高い。なので、ほかの部室より、一回りほど、部室が広い。

 そんな信頼の高い、部活動で、たくさん汗を流し、優騎と愛貴は、授業に向かうのだった。

「ふううう、いい汗流したねえ、愛貴。」

「ホント。厳しいけど楽しいよねー。」

等等、恵魅と愛貴は、朝練の感想をもらしながら、恵魅は、2−A、愛貴は、2-Bに向かっていく。

そのころ、優騎は、部活の片づけを終え、同じクラスの、斉藤瀧(さいとう たき)と共に教室に、急いでいた。

8時20分、授業開始10分前に愛貴と優騎は、席に着いた。

ここでも2人は究極の幼馴染振りを発揮していた。席が、隣同士なのだ。

「部活お疲れ。調子どうだった?優騎。」

「ああ、結構走ったときとか、足が、いつもより軽くて・・・調子は、良かったぜ。そっちは、どうだったんだよ?」

「え、私は、大技が結構決まったから、コーチもニコニコで、雰囲気とかちょー良かった!」

いろいろ話していると、後ろから・・・

「今日も仲がよろしいこと、お2人さん」

と肩を突っつかれた。後ろの席に座っている瀧だ。

「な、何だよ瀧。からかうんじゃねーよ。」

「いって、たたくことねえだろっ!」

「あはは、こんなこと、うちらの間じゃ日常茶飯事!」

おちゃらけ者の瀧も加わり、さらに、おしゃべりは、ヒートアップしたが、

「おーい、席着けーー」

担任の上村椙先生が教室に入ってきた。

優騎と愛貴、瀧も慌てて口をつぐむ。

クラス委員長の愛貴は、「起立、礼。」と号令をかける。

HRがはじまり、予定の時刻より2分ほど遅れて数学の授業に移った。

優騎と愛貴は、全教科5なので、授業もスムーズに進んだ。

授業が終わり、教室を移動する。習熟度別の英語の授業だ。

先生に褒められて、悠々と授業を終えて、愛貴は教室に戻っていった。

休み時間に一緒にいる優騎と愛貴は、本当に絵になる。

学校で1番といって良いほどの、美男と美女で、2人を見た生徒が、やきもちを焼くほど。

(本人達には、恋愛感情は全く無いのだが・・・)

休みの後の授業も楽々こなして、給食時間。クラスはいっそう騒がしくなった。

「今日おいしいー。」

「瀧。早く食べちまえ。」

「うるせー。味わってんだあよ!」

「うそつけー。」

優騎達も盛り上がっていた。

午後の授業を終えて、部活も終えた後、優騎と愛貴は、校門前で待ち合わせ、5時半ごろ家に到着した。

「なあ、愛貴。これから俺んちで宿題やらないか。」

「うん、良いよ。どうせ分からない問題があるんでしょう?」

「う。宿題の問題じゃないんだけどさあ、通信教育の応用が良く理解できなくて・・・」

「分かった。じゃ、着替えたら行くから、準備して待ってて。」

「ああ、OK。」

10分後。チリンチリンとドアチャイムが鳴り、優騎の家に愛貴が来た。

「お邪魔しまーす。」

「入って。今紅茶入れる。」

「あ、ありがとー。優騎んちの紅茶、おいしいもの。って、あれ?おば様いないの。」

「え、あ、うん。1週間出張。」

「ふーん、そうなの・・・。大変ね。」

「へ、な、何が?。」

「優騎もおじ様も、料理苦手じゃない。家事も、ほとんどしないでしょ。」

「え、あ、あ、えっとお、そ、それは・・・。」

「の割には、綺麗ね。あ、分かった。ハウスキーパーの人とか呼んでるんでしょ。」

「ぎく。実はそうなんだ。でも料理のほうはどうにも・・・。」

「ふーん・・・。じゃ、私明日から朝と夜、作りに来るわ。料理。」

「えええええ!!そ、そんな。悪いよ。」

「じゃ、おじ様に聞いてみて。それで、電話してちょうだい。」

「わ、分かった。」

ふと、会話がとまる。優騎が壁の掛け時計を見た。

「あ、もう6時じゃん。そろそろ、2階で勉強しようぜ。」

「あ、ホント。すっかり盛り上がっちゃったわ。先に2階行ってる。」

「ああ、行ってて。」

愛貴は、優騎のグレーと黒の布団がかかったベットに腰掛けた。勉強机の上に教科書や教材が広げられている。

5分ほどして、ティーカップとポットの乗ったお盆を持った優騎が部屋に入ってきた。

「お待たせ。」

そう言って、優騎は勉強机にお盆を置いてベットに向かってきた。

と、その時・・・

「っと、うわっ!」

どさっ!!

優騎が躓き、ベットに倒れた。

しかし、優騎の体の下には・・・

「愛貴・・・!ご、ごめん。」

「ゆ、ゆゆ、優、騎・・・・。」

次第に、2人の顔が赤くなる。

「び、びっくりしたあ。もう、気をつけてよ。優騎っ!!」

「ご、ごめん。躓いて・・・」

「全く・・・。さ、もう気にしないで勉強、勉強!」

愛貴は吹っ切れているようだ。優騎は、少し尾を引いている。

しかし、それから1時間ほどふざけながら勉強しているうちに、さっきの出来事のことは、だんだん薄れていった。

「じゃ、そろそろ帰るわ。もう7時だし・・・。」

「あ、そう?応用教えてくれてサンキュッ。助かったよ。」

「お役に立てたならよかった。あ、そうだ。さっきのことおじ様に聞いといて、絶対よ。」

「へ?・・・あ、ああ、OK.分かった。」

「それじゃ、紅茶ご馳走様。おいしかったわ。じゃね、優騎」

「ああ、明日な。」


愛貴が帰った後、優騎は考え事をしていた・・・。

『愛貴って、結構可愛いかも・・・。父さんも母さんも「将来の優騎のお嫁さんは、愛貴ちゃんが理想的。」とか言ってるし・・・って何考えてんだ俺!』

心の中でそんなことを考えて、自分で頭をぐしゃぐしゃにする。

一方愛貴も愛貴で同じ様なことを考えていた。

『優騎の顔、あんな間近で見たの初めて・・・。かっこいいんだ、優騎って。なんて言うんだろ・・・。れ、恋愛対象って言うの。優騎、そんな風に考えちゃうかも・・・っへ?な、何考えてんの!わたしったら!!』

はあーとため息をついて、机に突っ伏すのだった。

と、その時。

「愛貴ー。優騎君から電話よ。」

下からママの声が聞こえてきた。

「え、あ、はーい。」

電話をかわる。

「も、もしもし。優騎?」

「あ、もしもし愛貴。父さんが早く帰ってきたから、あのこと聞いといたぜ。」

「え・・・あ、そう。それで?返事は?」

「うん。喜んでたよ。愛貴ちゃんの迷惑じゃないなら是非明日の朝から来て下さいって、さ。」

「ほんとに!嬉しいなあ、そんな風に言ってもれえるなんて。分かったじゃ、明日6時ごろ行く。腕によりをかけちゃうから。食べたいもの考えといてね、優騎もおじ様も。」

「OK。よろしくな。」

「うん。じゃ、明日ね。」

カチャ。受話器を置く。

「ね、ママ。私明日からおば様が出張から戻ってくるまで、優騎の家に朝食と夕食作りに行く事になったの。良いでしょ。私からやらせて下さいって頼んだのよ。」

「あら、そうなの。良いんじゃない。花嫁修業にもなって。」

「何言うのよー。そんなつもりじゃないもん。」

「あはは、冗談よ。でも頑張りなさいよ。」

「はーい。応援してね、ママ。」

少し頬を赤くしながら愛貴は燃えていた。


翌朝、5時半ごろ。愛貴は目覚ましに起こされた。

「ふわあああ・・・うううううん。ねむ。さ、起きなくちゃあ・・・。」

眠い目をこすりこすり愛貴はベットから降りて、1階の脱衣所に向かった。

顔を洗い、髪の毛を整え、制服に着替え終わり、ふっと時計を見てみると5時50分を指していた。

「そろそろ行こうかなあ。」

カチャ。ママが眠っている寝室をのぞく。パパは、アメリカに単身赴任しているため、めったに顔を見ない。

「ママ。優騎のうちいってくるね。」

もう起きて、本を読んでいたママがこちらを振り向き、にこっと笑って、

「頑張ってね。優騎君と貴騎さん(おじ様の名前)がっかりさせちゃだめよ。」

と言って、送り出してくれた。

6時丁度に愛貴は優騎の家のチャイムを押した。

・・・1分後

「はーい。あ、愛貴。今開けるよ。」

「おはよう。」

「おはよう、優騎」

そんな会話を交わした後に、貴騎に挨拶をして、料理に取りかかる。

30分後。テーブルに次々と料理が並ぶ。

野菜スープ、トースト、フルーツヨーグルト、オレンジジュース2杯に、コーヒーが1杯。

「お待たせしました。たくさん食べてください。」

「おおー。さすがだな、愛貴ちゃんは。妻より上手いかもしれないぞ。」

「本当だ。凄いな、愛貴。」

「そんなに言ってもらえると嬉しいー。夕食も頑張ります!」

20分後、貴騎が先に家を出た。

10分後。7時ちょっと過ぎ。片づけを終えて、優騎と愛貴は家を出た。

「ホント美味かった。朝から良い思いしたな。」

「ふふ、家事なら何でも任せて。」

そんなことを話しながら、15分後学校に着いた。

「じゃ、後でな。」

「うん、頑張ってね。」


「じゃ、皆。今日は冬にある大会に向けて大技をやろう。」

「はいっ、先輩!」

この大技で、一番上に上がるのが、愛貴だ。

いざ、挑戦。ぱっと愛貴が立ち上がり、成功したかに見えたが・・・

「え、きゃあああああっ!」

愛貴を支える役目の2年がバランスを崩し、愛貴が転落したのだ。

「愛貴!しっかりして!!愛貴!」

1番に駆け寄ったのは恵魅だった。

「部長、部長!!!」「先輩!」

悲鳴ともとれる声が響く。それでも、愛貴は気を失ったままだ。

「皆どいて。恵魅、救急車呼んで。」

顧問の先生だった。

「あ、は、はい。」

「皆は、ここで待ってて。先生は他の先生に事情を話してくる。」

10分後、救急車が来て、校内が騒がしくなる。

そのころ、優騎達は・・・

「なんか、騒がしいな。」

「救急車じゃん。なんか事故でもあったとか。」

その時、瀧が、校庭から戻ってきた。

「どうしたんだよ、瀧。そんな血相変えて。」

「大変だよ、優騎。今、愛貴がはこばれてって・・・」

「えっ!!う、嘘だろ・・・」

ダッ。優騎は校庭へ駆け出した。

「山野っ!愛貴は?」

「あ、優騎君・・・今、お母さんが来て、救急車ではこばれて行ったよ・・・」

恵魅は顔を真っ青にしている。

「何で?何でこんな事に・・・」

恵魅は今までのことを話した。みるみる、優騎の顔が強張っていく。

「何にも出来ないなんて・・・。」

優騎はボソッとそういうと、サッカー部のほうに駆け戻っていった。


夕方。ボーとして、うわの空だった授業を終えて、恵魅と優騎は病院に向かった。

看護士に案内されて、愛貴のいる病室に入った。

「あ、恵魅に優騎!来てくれたんだ。うれしー。」

「愛貴、平気なの?2年の子・・・『私のせいだ・・・』って泣いちゃって。部も全員混乱しちゃって、、、」

「そうだったの・・・。ごめんね、私のせいで。でもみんなに言っといて、軽い打撲と捻挫ですんだからって。」

「良かった。もし骨折とかしてて、大会出られなくなったらどうしようって思ってたのよ・・・ホント軽症ですんでよかった。」

「あ、あれ。今日恵魅、塾じゃなかったっけ。遅れちゃうんじゃない。」

「あ、うん。今日、本当は休もうと思ってたんだけど、元気そうな愛貴見てたら安心したからいってくる、じゃあね。」

「うん、バイバイ。頑張ってねー。」

「あ、愛貴・・・あの、さ。」

「優騎、来てくれてありがとう。ごめんね、心配かけて。大丈夫だからって、優騎?そんな怖い顔しないで、笑ってよ・・・ね、優」

「ごめん。俺、何にも出来なくて・・・だから。。。」

「もういいよ。しょうがないじゃない。それに私は平気なんだから。」

「愛貴・・・ありがとう。」

「優騎にだけは、話すわ。実はね、頭を結構強く打っちゃって、1時間くらい、ずーっと意識不明のままだったの。でも、ね・・・優騎の夢見て、励ましてくれたの。だから目、覚めて。。こっちこそ、ありがとうなんだから。」

「そう、だったんだ。」

「ごめんね。検査で、1日位入院することになって、ご飯作れない・・・」

「いいよ、そんなこと。早く退院して、みんなを安心させてやれよ。」

「うんっ!」

次の日の夕方。ママと優騎が迎えに来てくれて愛貴は退院した。

「ありがとうね、優騎君。」

「いえ、そんな。」

「優騎、照れてる?」

「な、何言うんだよ、急に!」

「ふふ、本当、仲が良いわね。」

ほのぼのとした時は過ぎ、家に着いた。


数日後、愛貴はチアリーディング部に復帰して、元気に活動を開始していた。

一方で、優騎も愛貴が退院したこともあり、調子良く練習していた。

ある日の放課後・・・

「あ、優騎ー。」

「愛貴、ごめん。ちょっと瀧に呼び出されてさ。先帰っててくれるか。」

「ふーん、そう。わかった。じゃ、明日ね。」

「ああ、じゃあな。」

愛貴に手を振ると、急いでサッカー部の部室に行った。

「あ、優騎。遅いぞ。」

「わりィ、ちょっとな。で、話って何だよ。」

「あ、その事なんだけどよ・・・聞いても、怒ったりすんなよ。」

「は?あ、ああ。」

「お、俺、愛貴のこと・・・す、好きなんだ。」

一瞬会話が止まる。

「・・・」

「・・・・・・・」

「ほ、本気、何だ、俺。」

「分かってる。」

「で、でも俺、愛貴にはお前って言う、彼氏がいることも、分かってる。」

「・・・!俺は、彼氏なんかじゃなっ・・・」

言葉が詰まった。自分で否定してる理由が分からなかった。今、あの自分が転んだ時の事が蘇ってくる。初めて、愛貴に対してドキッとした、あの時。

またあの時の気持ちが、蘇る。愛貴のこと好きだって気持ちが・・・

「優騎?」

「俺、も・・・愛貴の事が・・・好き・・だ。」

「えっ・・・」

瀧が驚いて顔を上げる。目が大きく見開いている。

「じゃ、俺、勝ち目無いな。おまえがライバルじゃ、俺が愛貴に選ばれる訳無い・・・。」

「そんな事・・・。」

「俺、帰るわ・・・。」

「あ、瀧っ!」

瀧は部室から走り去っていった。その背中が、泣いていた。


翌日、朝練がなく優騎が寝坊した。もう愛貴は行ってしまったみたいだ。

急いで、学校に向かった。

教室に入るといつもの席で瀧と愛貴が楽しそうにおしゃべりしていた。

静かに席に座る。愛貴が気付いた様だ。

「あ、優騎遅いじゃない。全く朝練が無いからって寝坊して。瀧は今日も朝来て練習してたのよ。」

少し怒って愛貴が言う。優騎と瀧の間の空気には気付いていないようだ。

「ああ、悪い。ちょっと寝れなくて・・・。」

「何か悩みでもあるの?私で良かったら、相談乗るけど・・・。」

「いや、平気。悩みなんか無いから。」

「そう?なら良いけど・・・。あっそうだ。今ね、瀧と漢検の話してたのよ。2ヵ月後なんだけど。どう、優騎も一緒に受けない?優騎、小学生の頃から漢字得意だったじゃない。一緒に3級受けましょうよ。」

ワクワクした表情で愛貴が聞いてくる。瀧は、顔を伏せたままだ。

どうしようかと悩んだ。瀧も一緒となると・・・しかし、受けることにした。

「ああ、良いよ。なんか面白そうだし。」

「そう?じゃあ、インターネットから、申し込んでおいてね。で、明日の放課後私の家来てね。」

え・・・。これにはびっくりした。瀧も聞いていなかったのだろう。顔を上げ、目を見開いている。

「わ、わかった。」

「りょ、了解・・・。」

「よーし、忘れないでよね!あ、後申し込みもっ。」

「おーい席着けー。」

教室がざわつく中で、瀧と優騎は悶々としていたのだった。


翌日の放課後6時。優騎、瀧、愛貴が愛貴の部屋に集まっていた。

やはり優騎と瀧の間には少し距離が開き、顔をそむけ合っている。

愛貴が紅茶を入れて戻ってきた。

「よーし、やろっ!2人の分、テキスト買っておいたから。」

テーブルの上に漢検と書かれた分厚いテキストを3冊、さらにピンク、青、緑のノートを1冊ずつ出すと、青を優騎に、緑を瀧に渡した。

「それに解答書いてね。じゃ、やろっか。」

愛貴たちは集中して問題に取りかかった。

2時間後・・・それぞれ帰り支度を始めて玄関に降りて来た。

「お邪魔しましたー。」

「お邪魔しましたー。」

「バイバイ。月曜日にね。」

「あ、いけね。俺、忘れ物した。」

「えーー。もう、しっかりしなさいよ。優騎ちょっと待ってて。」

「え、あうん・・・。」


「で、なんなの。忘れ物って」

「いや・・・。聞き忘れたことがあって・・・。」

「え?なら下でも良かったじゃない。」

「いや・・・あの、、さ。単刀直入に聞くけど、俺と、優騎どっちが好きなの?」

「え・・・・・・・」

気まずい空気が二人の間に流れる。だんだん愛貴の顔が赤くなる。

口を開いた・・・。

「優、騎・・・」

「やっ、ぱ、り・・・」

「あのね、瀧のことも、もちろん好きよ。でもね、親友としか見えないの。それに、優騎は、私のこと、ほんとに良く分かっていてくれてるから・・・。ごめんなさいね、瀧・・・。」

「良いよ。ごめんな、変なこと聞いて。」

「ううん。でも嬉しかった。瀧が私のこと親友以上の存在として見ていてくれてたなんて。ありがとう。」

「そんなこと・・・。じゃあな。」

「うん、バイバイ・・・。」

そういうと、瀧は下に駆け下りていった。


「愛貴、お前のことが好きだってよ。」

ボソッと、瀧がつぶやいた。優騎が顔を上げる。

「そう。。か。」

「でも俺悲しくないんだ。愛貴が瀧が私のこと好きでいてくれたなんて嬉しいって言ってくれたからな・・・。」

「そうか・・・。」

「お前、愛貴と両思いなんだからな。愛貴傷つけでもしたら承知しねえぞ。」

「・・・ありがとう、瀧。」

「なんだよ。親友として、当然だあ!」

「はは、これからも宜しくな、瀧。」

少し照れくさそう優騎が言う。

「おう!!じゃあな。」

こうしてさわやかに、秋が始まったのだった・・・。






2ヶ月半ほどたって、11月の下旬になった。漢検の受検日がもう少しに迫っていたので、3人とも勉強に追い込みをかけていった。

そんなある日・・・帰りのHRで。。。

「今日は、斉藤から話がある。」

教室がざわつき始める。瀧が前に出て行く。優騎と愛貴も思案顔になっていた。

「えーと、実は、12月1日に、神奈川の方に引っ越すことになって、それで、中学も転校する事になりました。今まで、ありがとうございました!」

そういうと、瀧はみんなに頭を下げた。みんながざわつく。

「でも、転校するのは、同じ学院の晴鈴学院湘南中学だから、学院合同大運動会とかで、会えると思います。そのときは、声かけてくれよな。」

そういうと、瀧は席に戻った。まわりの皆に何やら言われている。優騎と愛貴は顔を見合わせていた。

放課後、皆が帰って静まりかえった教室に優騎達3人が集まっていた。

「本当なのかよ、転校って・・・」

「ああ、急に決まったんだ。」

「理由は?どうしてなの?」

「親父の会社が引っ越す事になってさ、そこが神奈川で、こっから親父が通うのは少し無理があるから、家族で引っ越す事になったんだ。」

「そう・・・」

「ごめんな、1週間くらい前から言おうと思ってたんだけど、なかなか言い出せなくって。」

「いや、言い出せないのも当然だよ。」

「でも、瀧・・・。引っ越す日って、漢検の日でしょ?頑張ってきたのに受けるのやめちゃうの?」

「いや。ちゃんと受けるよ、でも試験が終わったらそのまま引っ越すんだ。」

「そう・・・。なら、ますます頑張ろうね!!」

「そうだな、皆で合格しようぜ!」

「ああ、絶対だ!」

3人は、手を握り合った。


12月1日、3人は会場の前に集合していた。

「受験票もってるわね?復習、大丈夫?」

「そんな心配すんなよ。愛貴、俺達のことそんなに信じられないか?」

「そうだぞ愛貴。信じてくれよ、俺達のこと。」

「だってー。なんか心配だもん。」

10時、漢検が始まる30分前になり、どんどん会場に入っていく。

「じゃあな、頑張ろうぜ!」

「おう!後でな。」

「バイバイ、後でね!」

それぞれの会場に入る。そして、30分後、試験が始まった。


試験が終わった。優騎と瀧が先に会場から出てくる。

「ふー。どうだった?瀧。」

「ばっちりだぜ。いい思い出になった。」

「俺も、ばっちり。良かった。」

「・・・なあ、優騎。」

「何だよ?」

「今日・・・。愛貴に告白しろよな!」

「!な・・・。どうして!んないきなり。」

「俺のいる前で、2人に幸せになってほしいんだよ。」

「た、瀧・・・。・・・・分かったよ。告白する。」

「ありがとう、ありがとう、優騎!お前、俺の最高の親友だよ!!」

「そんなこと・・・。でもそう言われると嬉しいな。」

そのとき、愛貴が会場から出てきた。

「ごめーん。ちょっと私の会場、試験開始時間が遅れたから・・・」

「い、いや。全然待ってないよ。」

「そう?良かった。」

つんつん。瀧が優騎の腕をつつく。

「あ、あのさ。ちょっと、は、話があるんだけど・・・。」

「?何?」

「こ、ここじゃ少し話しずらいから、近くの公園いかないか?」

「うん!いいよ」

「じゃ、行こうか。」


10分後、公園に着いた。瀧は、少し距離をおいている。

「何、話って」

「あ、あ、あ、の。」

「は?」

「お、俺・・・愛貴が好きだ!!」

「・・・嬉しい・・・・」

「え?」

「嬉しい。両思いだったなんて!」

「あ・・・」

2人が照れくさそうに顔を見合わせる。

パチパチパチ。拍手が聞こえてくる。

「お見事だな。2人とも」

「瀧!」

「良かった。2人とも幸せになれたな。」

「うん。ありがとね、瀧のおかげだわ。」

「え、知ってたの愛貴」

「頼んだの、私なの。どうしても、私、言い出せないから。。。」

「そうなんだ。愛貴に頼まれたんだ。それに、おれも、結ばれるの、見届けたかったから。」

「瀧から頼まれて断ったなら、私と両思いじゃないからって、諦めようと思ってたの。」

「そうだったんだ・・・。でも、俺も好きでも言い出せなかった。」

「本当に、似たもの同士だな。」

「ますます嬉しくなっちゃう!」

つっつっつっかつーーーー。着信音らしきものが鳴り響く。

「あ、俺、もしもし、親父?うんうん・・・分かった。すぐ行く。」

「何だって、お父さん。」

「ああ、近くに着いたから、来いって。ついに行くぜ。」

「そうか・・・。元気でいろよ。」

「さよならは言わないでよ。もう本当に会えなくなっちゃいそうだから!」

「ああ、じゃあな。別れんなよ!絶対」

「・・・最後までありがとう。瀧。」

「ああ、じゃあ、またな!」

そういうと、瀧は、駆け出していった・・・


冬休みの一週間前・・・。優騎宛に手紙が来た。

『元気か?今度の冬休みに妹と一緒に遊びに行く!ダブルデートしようぜ!! 斉藤瀧』

それを2人で読んでいた愛貴と優騎はにこやかに笑いあった・・・。         終

小学生の私が書いた生意気な作品ですが、宜しくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] な・ま・い・き!! だけどもの凄く良い作品ダッタヨ♪ これからも色々な作品出してね☆ アタシも小まめにチェックするからね!!          楽しみにしてるよ。。
[一言] 小学生が書いた小説とは思えない作品でした。個人的に、もう少し恵魅を出して欲しかったかも??でも、読みやすかったし、内容も良かったです。私もまだ小学生なので、本だとしたら、恋愛系は年齢的に…で…
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