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「ひとまず、願いを9つにしてくれ」「オッケー!」  作者: ラボアジA
第五章 メガネにさよなら

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『3つめの願い』

 僕がしれっと答えたら、エヴェレットの顔は更に赤くなった。

 話についてこれていない真子は、エヴェレットと僕達との対立にオロオロするばかりだ。


「のぉ、真子殿」


 そんな中、エヴェレットがやたら気色悪い猫なで声で、真子を懐柔にかかった。


「こやつら、我が輩と真子殿をペテンにかけおったのじゃよ。荒唐無稽な内容で病院の悪魔達も引っ掛けおってのお。まったく、助けるなどと大ボラを吹きおって、実際には思い切り足を引っ張りおったわけじゃ。性根の腐った、ロクでもない奴ばかりじゃよ」


 少し手直ししただけで、自己紹介に早変わりの内容だ。


「このままやられっぱなしで良いのか? 見返してやるんじゃよ」

「え、えっと……」

「おーっと、真子ちゃんよぉ」


 すかさずアミエルが、エヴェレットと真子の間に割って入った。


「『見返す』って言葉にすんなり頷くんじゃあないぜ? エヴェレットは今、タネがバレて相当焦ってる。見返すって、どうやってだ? まさか、『今すぐ大災害を引き起こす』ってのが見返すわけじゃあねえだろーなー?」

「む……? 当然、そうじゃ」

「うっわー、認めやがった」


 呆れて果てるアミエル。

 真子は、驚きを隠そうともせずにエヴェレットを見た。


「あの、悪魔さん。私さっき拒否しましたよね? 家族がいるから駄目って」

「事情は刻一刻と変わっておるのじゃ。それに、今ならば真子殿のターゲットにした奴らもさほど動いておらんじゃろうて。真子殿をイジメていた奴らに鉄槌を下せる唯一の機会を、みすみすフイにしてしまっても良いのかの?」

「それは……」


 真子はうなだれた。じっと手を握り締め、肩を震わせる。


「それは……、出来ない……。それでも、お父さんとお母さんは巻き込めない……」


 真子は眼鏡のまま涙を流した。

 ――どうやら、確定したな。僕はゆっくりと真子に近付いた。

 これでもう、真子は災害を願わない。後は、引導を渡すだけだ。


「真子、救いが欲しいか」


 頷く真子に、僕は耳元で囁いた。


「なら真子、罪を償うんだ」

「え、だ、大輔、さん……?」

「僕の本当の目的は、みんなを眠り病から起こすことだ。そしたら、裏で進行していた事件を知ってな、必ず食い止めようと思ったのさ。――未遂に終わったとはいえ、地震と噴火で市を破壊しようとした罪は、拭い去れるものじゃない」

「!」

「終わりだよ、川科真子。――救いが欲しいなら、僕の言うとおりにするんだ。『じっとしてろ』」


 愕然とした表情の真子は、それでも、泣きながら頷いた。


「――ふむ」


 エヴェレットは、もはや観念したのか、すっかり怒りは霧散していた。


「真子殿、何か涙を拭くものが欲しいかの?」

「はい……」


 エヴェレットは虚空からハンカチを取り出した。それを真子に手渡した直後、真子の体がガクンと崩れ落ちる。死とは呆気ないものだ。


「ではな、人間」


 右手に白い魂を握り締めたエヴェレットがマントを翻すと、そこに悪魔の姿はなく、ただ真子の亡骸なきがらだけが横たわっていた。

































「18秒戻せ」

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