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「間違いなく叶えてやるよ」
「なあ……、大輔よ」
尖った耳の先をいじりつつ、悪魔は諭すように口を開いた。テンションも、最初に比べれば随分と落ち着いている。
「結論から言えば……、出来るぜ。ただし、さすがに無尽蔵は無理だがよ」
「何個ならいける」
「その前に、しっかり聞かせろや」
ベッドの縁から立ち上がった悪魔は、座ったままの僕に詰め寄ってきた。こいつにも真剣な面持ちは出来たらしいが、いかんせん半笑いの状態が長かったためか、頬が若干強張っている。
「マジなのか? ――お前、マジでオレの願いを叶える気か?」
「どんな願いなんだ」
悪魔は、苦々しげに舌打ちすると、両拳を握り、天井を仰いで奥歯を噛み締めた。
「ムカつく上司を消して、その後釜に座りたい」
「それは、願いの力で可能なのか?」
「ああ……、出来るぜ」
「なら、簡単だ」
僕は、十七年の人生で、覚えがないほど不敵に笑ってみせた。
「間違いなく叶えてやるよ。――4つめの願いでな」