表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「ひとまず、願いを9つにしてくれ」「オッケー!」  作者: ラボアジA
第四章 情報を握るということ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/39

「とんでもない拾いモノだったよ、お前は」

「アミエル。お前は演技に乗り気じゃないようだったが、意外にやるじゃないか」


 裏道へ入ってすぐに眼鏡拭きを取り出した僕は、念入りに眼鏡を拭き始めた。


「演劇でもやればどうだ?」

「ククク、冗談抜かせ」


 アミエルは鼻で笑った。


「だが、この話は、下克上のやりやすさにもかかわってくるんでな。やるからには気合いを入れたぜ」


 病院の昏睡患者の中でも、アミエルの顔なじみの悪魔が多くいる所へ足を運び、敵についている悪魔――エヴェレットへの疑念を植え付けた。

 これは小さなもので構わない。ちっぽけな、取るに足らないシミのようなもので良い。


「証拠があれば、ひっくり返る」


 不信感がくすぶっていることを確認できたのは大きい。

 満足がいくほど眼鏡が拭けた僕は、大きく息を吐いたのち、しっかりと掛け直した。


「この状態が、大事なんだ」

「お前の手口が分からんな。『願い』をどう使うんだ?」

「ん、なぜ使うんだ」

「はぁっ?」


 アミエルは呆気に取られた。


「だってよぉ、どうやってハメるかっつったら、『願い』を使うしかねえだろーがよぉ」

「おいおい、どうして少しの手間を惜しんで、大切な願いを1つ消費しないといけないんだ」


 僕は溜め息をついた。


「ステルスも不死も、僕の力が及ぶ範疇を超えている。だから、願う価値があった。だが、現状は概ね予想どおりだ。とくに願いが必要とは思わないな」

「『願い』なしでどうする気だよ。――いや、失敗するなら失敗でもオレはいーんだがよ。それでも、なんだか不安になってきたぜ」

「そうか。なら、行く場所は教えておこう」


 僕は人差し指を立てた。


「このあとは、少し寄り道したのち、敵とエヴェレットに会いに行く」

「!」


 アミエルは目を見開いた。


「おいおい、大輔。お前さっき、アドバンテージがどうこうって抜かしてたじゃねえか。オレはてっきり、最後まで会わねぇ気かと思ったが……。いいのかよ?」

「ああ。場所は分かってるんだろ? 教えろよ。代わりに、面白い出し物を特等席で見せてやる」

「大輔、てめぇ……」


 アミエルはしばし震えたのち、腹の底から笑い声を上げた。


「とんでもない拾いモノだったよ、お前は」

「僕は落ちていないぞ。堕ちているのはお前だ、悪魔」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ