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「ひとまず、願いを9つにしてくれ」「オッケー!」  作者: ラボアジA
第二章 戦わせない戦い

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「なんで誰も不思議に思わないんだろうな」

「ところで大輔、眠り病についてなんだがよぉ、他に何か知ってること、あるいは気付いたことはないか?」

「そうだな」


 僕はアゴに手を当てた。


「親父は病院でこれにかかりきりだ。運び込まれてくる新たな眠り病患者を診ているらしい。容体はみな落ち着いているそうだ」

「ふぅん」


 アミエルはさらにニヤニヤと笑う。


「あのよぉ……。普通なら、もっと大騒ぎになってると思わないか?」


 僕は首を傾げた。


「――そう、か?」

「ああ。らしくないぜ。お前、たかだか数万人かそこらの地方都市で、300人が眠りこけてるんだろ? 大事件じゃねえか。なんでここにだけ発生したのか、なんで誰もパニックにならないのか、そして、『なんで誰もそのことを不思議に思わないのか』……。くくく、もう一度言うぜ? なんで誰も不思議に思わないんだろうな、オイ?」


 たしかに、変……か? 僕がそのことに微かな違和感を覚えると、途端に頭が痛み出した。幸い、すぐに痛みは霧散する。

 ――えっと……。なんだ?

 ん、む……、何を考えていた?

 もやもやとした、形にならない思考だけがある。――ああ、そうだ。きなこの事だ。あいつを起こす。ただ、あいつだけを起こしてもあいつが気に病む。だからいっぺんに起こさないと……。


「おいおい、マジでハマってるな」


 アミエルの、呆れとも苦笑ともつかぬ声が聞こえた。


「お前よお……。眠り病患者が、多すぎるだろ? 今、300人だっけか? ったく、これしきのことで手こずるたぁ、ハタから見てると滑稽極まりないぜ」


 ――そうだ、眠り病患者のことだった。きなこも眠っているんだ。その原因は……うっ!

 理由を考えようとしたら頭痛が生じた。幸いすぐに止む。


「ったく、処置なしだなこりゃ。本当、うめーことやりやがる」


 そばでは、なぜかアミエルが残念なものを見る目を僕に向けつつ、頭を軽く振っていた。

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