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「ひとまず、願いを9つにしてくれ」「オッケー!」  作者: ラボアジA
第二章 戦わせない戦い

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 眠り病

「ああ、大輔。分かってる、みなまで言うな」


 いつの間にか僕のそばまで近寄っていたアミエルは、おどけたように両手で制した。


「そうだよなぁ、小さい頃からずっと一緒に育ってきた、器量よしの幼なじみ……。ションベン臭いガキだと思ってたら、いつの間にかぐんぐん色っぽくなってきやがって、そりゃあ、好きになるなって方が無理だよな~ぁ」

「そんなんじゃあないぜ」

「くっくっ、照れるなよオイ。胸が張り裂けそうな恋心をいだいちまったか? あるいは、もっとドロドロした欲望かな?」


 僕が舌打ちすると、アミエルはおかしそうに手で否定した。


「――あぁ、別に茶化してるわけじゃねえんだ。恋愛ってのは大事だぜ? かくいうオレもよぉ、下克上したアカツキにゃ、『真実の愛』とか探すつもりだからよ」


 アミエルは「ああ、そうだ」と手を叩いた。


「もう、今だから言っちまうがな、大輔が菜々子を助けたいとか願ったら、まあ揚げ足取って歪めまくって、さっさと3つ叶えた体裁を作って魂ブンってたぜ」

「大したサギ師だな」

「おいおい、そいつぁ上司に言ってくれ。うちの営業方針がそれなんだからよ」


 アミエルは、禿げた頭をつるりとなでた。二本の触覚も一緒になでていたのか、最後に両方ともビヨンと跳ねる。


「まーったく、事務方の連中ときたら、上司クソッタレの『金魚のフン』みてぇな奴ばっかりでな。面従腹背めんじゅうふくはいっつーのか? 内心はムカついてるのに、睨まれるのが怖ぇからペコペコしてんだよ。その挙げ句が、あこぎな商売を誰も注意しねえ構図だ。こいつをやると、目先の収入こそ増えるンだが、結局は、人間の引っかかる量が減っちまって、魂の回収量は先細りになるんだよ」


 アミエルはベッドに腰掛けて腕を組んだ。


「ケッ、オレが折角、今みてぇなことを懇切丁寧こんせつてーねーに教えてやってるっつーのに、ノルマ、ノルマと尻ばかり叩きやがって。そのくせ、願いを叶えるための魔力量はケチって、上納分はしっかり取り立てるんだぜ? あいつ、マジで魔力貯め込んでンだろ」


 現場と上層部との確執は、魔界でもあるらしい。


「ンで、大輔。どうすんだ? 菜々子を起こすのか?」

「ああ、いや……それだけだと完全な解決にならない」


 僕は手で制した。


「この忙亜ぼうあ市には、現在、眠り病が流行はやっていてな。市内だけで300人ほど眠ったまま起きない人間がいるんだ。それを全員起こしたい」

「――へえ」


 なぜかアミエルは、うっすらと笑みを浮かべた。

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