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瞑想世界93
成美ちゃん、村瀬の事は諦めて、田村と三人で帰ろうと、僕は言った。
残忍な衝動に突き動かされ、僕は成美ちゃんに襲いかかった。
パラソルを掴んで踏ん張り、片足を軸にして成美ちゃんの顔面にパンチを見舞った。
僕のパンチが顔面にヒットした途端、成美ちゃんの形相が変わった。
狂っている顔付きが、正常で柔和なものに戻り、怒り狂っている僕をきょとんと見詰めている。
僕はその表情を見て、動きを止めた。
僕を見詰めながら成美ちゃんが言った。
「村瀬さんは?」
僕はその言葉を聞き、涙ぐみ、それを手の甲で拭い、おもむろに言った。
「成美ちゃん、村瀬の事は諦めて、田村と三人で帰ろう」




