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瞑想世界87
お前らが決めればいいと、村瀬は言い姿を消した。
田村が尋ねる。
「混沌の増殖が滅亡装置の引き金か?」
村瀬が答える。
「そうだ。異次元ワームホールの混沌の増殖こそが滅亡装置の引き金と言えよう。ワームホールは正にカオスの坩堝だからな。あらゆる災厄の元凶と呼べるからな」
僕は喚いた。
「それじゃ、俺と田村は貴様や成美ちゃんを助けに来て、逆に滅亡装置の引き金を引いてしまったのか?」
村瀬が冷笑してから言った。
「そうだ。その不条理というか、もどかしい矛盾がお前らの至高なる慈悲の発露と言えるわけだ。どうだ、俺を助けるのを止めるか?」
田村が顔をしかめ尋ねる。
「俺達がお前の救出を取りやめれば、滅亡装置の引き金は入らないのか?」
村瀬が頷いた。
「そうだ」
僕は喚いた。
「そんなの嘘だ!」
村瀬が冷笑してうそぶく。
「信用するしないはお前らが決める事だろう。二人で相談して、どうするかを決めれば良いではないか?」
それだけ言い、村瀬は冷酷な笑みを顔に浮かべながら雑木林に足を踏み入れ、姿を消した。