瞑想世界78
有難うと、村瀬が言った。
村瀬が余裕の笑みを浮かべて言った。
「貴様らが俺を罵る朝鮮人という言葉は徹底した破壊しかもたらさないわけだ。その破壊性は俺の中で昇華され、新たなる破壊性を生み、史上の美、絶対の死に彩りを添えるわけだ。だからある意味、お前らの朝鮮人と罵る言葉は絶対の破壊を生む、愛になり得ているわけだ。違うか?」
僕は息巻いた。
「そんなの詭弁だ。破壊など断じて愛では無い!」
唇を曲げるようにして村瀬がどす黒く微笑み言った。
「人類の歴史に大いなる破壊をもたらす事は、新たなる文明の黎明をもたらす美しい所作ではないか。その黎明に憎悪溢れる朝鮮人という言葉は一役買っており、破壊としての徹底した連鎖、破壊の促進強化をなし、新たなる創造の礎になっているならば、その差別用語は芸術と呼べよう。そう思わないか?」
田村が叫んだ。
「破壊など芸術ではない。増してや愛などではけして無い!」
村瀬がからかうように続ける。
「お前らは俺を救う為に憎悪たぎる朝鮮人という語句を多用する。その殺意に満ちた愛の言葉たる朝鮮人という言葉の連鎖が、新たなる美としての絶対の死を生み、それは裏返って大いなる創造を生むわけだから、俺は破壊神としての絶対無二の創造神となるわけで、それは朝鮮人という罵り言葉がもたらした史上の美徳と言えよう」
僕は怒鳴った。
「そんなの詭弁だ。朝鮮人!」
村瀬が粘つく感じで僕を睨み据え言った。
「有難う」




